貴方と出会って花になるーひわまりー ページ34
流華はある日激しい恋をした。
太陽のような髪を揺らすその人に身を焦がすような恋をした。
無理だ。止めろ。諦めろ。
周りの仲間にはそう云われた。
そんなこと、誰に言われなくとも分かっている。
自分はこの裏社会の最底辺、有象無象の下級構成員。
彼は、ポートマフィアの五大幹部――――中原中也。
叶わぬ恋だ。分かっている。
それでも、彼女はその人を目で追い続ける。
同行を許された任務の時。
彼が拠点の廊下を歩く時。
気まぐれに優しくされる時。
気付けば彼女はいつの間にか彼を見ていた。
好きだった。胸が潰れてしまうみたいに。
でも彼は太陽と同じ。見えているのに触れられない。例え触れられたとしても、次の瞬間自分は燃え尽きてしまうだろう。
それでも諦めきれない恋情は、やがて彼女の身を細らせた。
食べ物も、水も喉を通らない。
気付けば狂ったように彼を探している。
もう、彼を見て居られるのなら、何もいらないとさえ思っていた。
『嗚呼、神よ』
庭木のように何も言わず、何も食べず、何処にも行かず。
唯、彼を待つ存在であったなら。
私はいったいどれほど幸せだったでしょう。
言えない言葉がぐるぐると胸を締め付ける。
弱った躰では、もう呼吸すらままならない。
それでも、恋情だけは陰りを知らぬ真夏の陽光のように燃え盛る。
『中原幹部、私は貴方が好き、でした』
ぽろぽろ、涙が溢れて止まらない。
もう駄目なのだ。分かっている。分かっている。
それでも流華は、小さな幸福感に身を浸して、瞳を閉じた。
※
翌日の朝、ポートマフィア拠点に花が咲いた。
黄色い、太陽に似た花だった。
風に揺れるその大きな花はずっと太陽を追って首を巡らせた。
まるで恋い焦がれる乙女のように。
皆はその花を、時を同じくして行方不明になった彼女が姿を変えたのだと云った。
その花の名は≪向日葵≫。花言葉は≪貴方だけをみている≫
【「花になっちまうくれェなら云えよ、莫迦」
そう言ってひまわりに水を遣る中也が、その後度々目撃されていた】
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ひよこリュナ(プロフ) - ちょこさん» hohohoほんとですか!!!ありがとうございます!!Bダッシュで見に行きます!! (2016年7月17日 10時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ひよこリュナさん» リクエストありがとうございます!読んでいただけて嬉しいです!!先刻続編にアップさせて頂きましたのでご確認よろしくお願いいたします!! (2016年7月17日 10時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 叶わないの続きを見てみたいです!!ハッピー方面で!! (2016年7月16日 23時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - アリスさん» リクエストありがとうございます!先刻アップさせていただきましたのでご確認ください !! ( (2016年7月11日 21時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 麗さん» 御覧頂きありがとうございます!これからも書かせて頂きますので、またのリクエストお待ちしております! (2016年7月11日 17時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2016年6月14日 21時