検索窓
今日:12 hit、昨日:8 hit、合計:692,444 hit

その唇【真衣様リクエスト:激激激甘】 ページ19

休日。ソファで書類を見ていると

『ちゅーや!』

流華が中也を呼んだ。
何ということもない、日常だ。
それでも、中也にとってはこの小さな戯れでさえ幸福。

なにより、彼女の唇が好きだ。この名を呼ぶ其の動き。
最初につん、と突き出し、軽く開き、最後に笑む。
他の名前であればこんな動きはしまい。そう思うだけで己の名前さえ愛おしく思える。

「なァ、もう一回」
『え?』
「俺を、呼べ」
『なんで…?』

何を言われているのか、あまり理解していない顔が、また可愛らしい。

閉じ込めたくて己の膝を跨がせ、額を付けるように座らせる。
大して身長差の無い彼女とは、顔がすぐ間近。

「呼べよ」
『…ちゅーや』

恥ずかしいのか、赤くなって、声も小さくなる。
…そんなところまで愛おしい。

「もう一回」
『ちゅー

つん、と尖った流華の唇。あんまりにも煽情的。
頭で何か考えるよりも躰が動く方が先だった。


ぺろり。


『ちゅ、や…なに、を!!?』
「美味そうだったから…あァ、甘ェ」

茹でたみたいな色になった彼女に理性が警報を鳴らす。
もう、いい。仕事なんか後でいい。
放り投げた書類が鳥の羽ばたきみたいな音を立てて落ちていく。
大きすぎる紙吹雪の中で流華の頭を引き寄せ、口づける。

『ん、ん!!!』

慣れない女がバタバタ暴れて胸を叩く。
按摩にもならない。弱すぎる。硝子細工みたいに華奢。

護ってやりたい衝動と、壊してしまいたい衝動が同時に沸いて。理性をぐらぐら煮溶かしていく。こんなんじゃ、煮詰まってジャムにでもなりそうだ。甘い甘い甘い時間の結晶。さぞかし美味いだろう、なんてくだらない発想。

『ん―――!!!』

本当に初心な流華が呼吸困難で悲鳴を上げるから唇を離してやる。
肩で息をして。目に涙を溜めて。赤い眦(まなじり)でこちらを睨む。
そんな態度が男の欲に逆効果と此奴が気付くのはいつなんだろう。

喉の奥で笑いを噛み殺して、中也は未だ己の膝に乗っているせいで、タイトスカートの裾から見えてしまっている流華の白い腿に手をかけた。

――――

リクエストを頂きました。
真衣様誠にありがとうございます!
このようなモノでよろしかったでしょうか?
可能であれば感想をお願いいたします。

2016年6月29日ちょこ

飼育欲求→←踊り子―後編



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (227 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
492人がお気に入り
設定タグ:文スト , 文豪ストレイドッグス , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ひよこリュナ(プロフ) - ちょこさん» hohohoほんとですか!!!ありがとうございます!!Bダッシュで見に行きます!! (2016年7月17日 10時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ひよこリュナさん» リクエストありがとうございます!読んでいただけて嬉しいです!!先刻続編にアップさせて頂きましたのでご確認よろしくお願いいたします!! (2016年7月17日 10時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 叶わないの続きを見てみたいです!!ハッピー方面で!! (2016年7月16日 23時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - アリスさん» リクエストありがとうございます!先刻アップさせていただきましたのでご確認ください !! ( (2016年7月11日 21時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 麗さん» 御覧頂きありがとうございます!これからも書かせて頂きますので、またのリクエストお待ちしております! (2016年7月11日 17時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/  
作成日時:2016年6月14日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。