ハロウィン系レンアイ【浦島坂田船】【大型コラボ】 (ページ24)

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おれんじ色の飴玉。/センラページ24

「センラくん！今日はハロウィンだよ！！」

高校というまだ縛られた空間で私は彼に話しかけた。

「今年も？Aは飴ちゃん大好きやね」

笑みを浮かべたセンラくんはいつも通りにオレンジ色の包装がされた飴玉を1つ、私の手に置いた

「これで6年目だぁ」

「中1のときからやったもんな」

センラくんとは不思議な関係。中学1年生のときたまたま隣の席になって、ただ「よろしくね」と話しかけただけ。クラスメイトという関係で終わるはずだったと思う。

でもハロウィンの日、センラくんが持っていたオレンジ色の飴玉を見つけて甘いものに目がない私は当然…

「センラくんが食べる、の？」

センラくんは目を見開いて私を見つけた。その視線を見るとなんだか私が恥ずかしくなってきてしまった。

「君、オレンジ色が似合うからこれ、あげる」

「せっかくだし…君、じゃなくてAって呼んでよ」

「ええよ」

そこから毎年ハロウィンになると私はセンラくんのもとに行ってはオレンジ色の飴玉をもらった。口約束だったけれど6年間、必ず守られていた。

そしていつのまにかセンラくんは私にとってなくてはならない存在へと変わっていったのだ。

毎年同じクラスだったけれどハロウィン以外に話すことなんてあまり無い。すれ違っても話しかけない関係だった。

でも私にとってはその出来事から彼の垣間見える笑顔を見たりすると胸がドキドキする。友達と話す声が愛おしいと思ってしまう。

センラくんが好きなんだ。

自覚したのはほんのすぐ。

ハロウィン。その１日だけでずっと心が満たされる大事な大事な日。

けれど私達も高校3年生。

進路、という選択肢が迫られている。

人それぞれ進路や目指したいことなんて違う。

だからセンラくんともう会えないかも、ハロウィンの飴玉をもらえないのかもしれない。

そんなことを思い始めると胸が苦しくなる。

そして私も色々なことのタイムリミットは迫っていた。

この日は君と過ごすさいごのハロウィンだ。