検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:32,838 hit

最終選別1 ページ13

選別の前日、私達は鱗滝さんから厄除の面を渡された。

鱗滝さんの手彫りの面。とても綺麗で暖かみがあった。

「ありがとうございます!」

「選別に行くに当たって、鬼について話すことがある」


鱗滝さんは丁寧に異能の鬼の事について教えてくれた。





次の日。

鱗滝さんに見送られ、錆兎、義勇と共に藤襲山へ向かう。



「必ず生きて帰ってこい……!」

「絶対だよ! おねーちゃん、さび兄、まこ姉!」

泣きそうに袖に縋り付く雪花。

必ず生きて帰ってくるから、と、何度も何度も言い聞かせ、ようやく離してもらえた。

私が道中で泣いてたことは、雪花には言わない。



会場に着く。

見渡す限りの藤の花が、朝日を浴びて狂い咲いていた。

私達はあまね様から選別の説明を受け、山へと踏み込んだ。



とりあえず団体行動をして、錆兎と義勇を見守る。

出会った鬼は、全て斬る。

今は朝だから、食料調達をしよう。

山での生活と前の人生の経験で、食べられる草や木の実は分かる。

手分けして採ったら、どっさり見つかった。

「見て! 二人とも! しめじだよ!」

義勇が目を輝かせてきのこを指さした。
少し困った表情で、錆兎は言う。

「……残念ながら、それはヒカリタケだ。毒があるぞ」


「……!?」

「きのこはよっぽど慣れた人じゃないと区別がつかないから、
 きのこはやめたほうがいいと思う……」

「そうなんだ……」

義勇は町から移ってきたばかり。あまり山のことは知らないから仕方ない。

義勇があんなに変わるなんて、この頃は予想もして無かったな……と思う。


こんなに無邪気な子供から、寡黙な水柱になるなんて、誰が予想できただろう。

山菜を、持ってきた缶詰の缶で茹でてアク抜きし、火で炙って乾燥させる。

淡々と作業を繰り返し、山菜の香りを感じながら私は一人過去を回想していた。



……何としてでも助けたい。

最終選別2→←鍛錬



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (65 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
94人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

萌葱なごみ - 如月さん» ありがとうございます!!!もっと面白く出来るように頑張ります! (2020年5月15日 19時) (レス) id: f1dc7efd01 (このIDを非表示/違反報告)
如月 - まだ5話くらいしか読んでいないんですけどこの時点で面白いです!応援してます!( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆ (2020年5月15日 18時) (レス) id: 246a34a862 (このIDを非表示/違反報告)
萌葱なごみ - あやめさん» ありがとうございます(*≧∀≦*) (2020年4月20日 16時) (レス) id: f1dc7efd01 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - とても面白かったです!これからもがんばってください! (2020年4月19日 8時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
萌葱なごみ - さーぇーちゃーんさん» ありがとうございます!!嬉しいです!!! (2020年4月17日 22時) (レス) id: f1dc7efd01 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:萌葱なごみ | 作成日時:2020年3月31日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。