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川「は〜。結局飲んじゃったねえ」
「飲んじゃいましたねえ」
帰り道。家の方向が同じなわたしと
のえるくんで、夜道をトコトコ歩く。
結局うみくんが見てないところで、
元太としめさんが飲みたいなら
飲んでいいよってメニューを渡してくれたんだ。
ずっと飲んでなかったし、みんなと
飲みたい気持ちがあったから、お言葉に甘えて。
うみくんに見つかったときは怒られたけど、
嬉しそうな、安心したような顔が一瞬見えて、
飲んでよかったと思ったんだよね。
川「マネさん増えてさ、
ちょっとは楽になった？」
「もっちろん。あれこれお願いしちゃって
申し訳ない反面、その分クリエイティブな
時間に充てられるので、楽しいです」
川「YouTubeの企画とか、ブログの方とか、
新しい事どんどん検討してるもんね。
さすがだなあ、Aちゃんは」
「いやいや！！のえるくんだって！
新しいお仕事たくさん来てますし、挑戦も
どんどんしてますもんね。そういう人が
近くにいると、わたしも頑張んなきゃって思えます」
川「ふふ、そう言ってくれると嬉しいなあ」
のえるくんと歩く道は、
いつだって心地よくて。
寒いはずなのに、心はぽかぽかして、楽しいんだ。
川「―――俺だから言えると思ってること」
「うん？」
川「無理はしないで」
もう少しでわたしのマンションと
いうところで、のえるくんが
立ち止まったので振り返る。
川「当の本人はさ、がむしゃらに
突き進んで、楽しくて夢中になってるから、
無理なんてしてないよって思うんだけどね」
言いながら、足元をみてゆっくり
歩いてくるのえるくん。
川「だからこそ、周りが声をかけるの。
そしてその声に耳を傾けて、ちょっと
スピードを落として周りや自分の状況を
よく見ると、『あ、ちょっと頑張りすぎてた』
って気づくんだ」
ポン、と頭に大きくて
あたたかい手が乗る。
川「たまには休んで、
俺らとゆっくり成長してこうね」
優しい笑顔が顔を覗き込んできて、
その気持ちに嬉しくなる。
強制するんじゃなく、止めるんじゃなく、
一緒に進もうと微笑んでくれる。
ああ、嬉しいなあ。
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作者名：エキゾチック幸助 | 作成日時：2022年10月31日 16時
