続き ページ14
「落ち着いたか。そんなに焦って思い出す必要はない、焦るほど分からなくなるからな。ゆっくり思い出していけばいい。それに、関係ない事をしている時ほど、思い出したりする」
未だ下を向いたまま呼吸を整えている今剣に、なるべく怖がらせないように優しく言う。
伝えたいことは伝えれた。どうか伝わるように
「大包平さん?」
落ち着いてきて俺だということが分かったのだろうか。
「あぁ、そうだが…」
そう返事をした瞬間、体が強張りばっと距離をとられる。
「あのっ!ありがとうございました」
目線は合わず、薄ら目に涙の膜を張り、絞り出された声は震えているが、確かに気持ちのこもっている礼だった。
それが今の今剣の精一杯なのだろう。
だって俺だと分かった瞬間に距離を取られたことからしても、やはり俺も恐怖の対象であったのだろうから。
あぁ、何をやったんだと前の本丸の俺に腹が立ってしょうがない。
俺のことが怖いなら、早くここから出て何か食べれそうな物を持ってきて休息させた方がいいのだろう。
でもこれだけは聞かなくては。
「っっっ!当然のことをしたまでだ。それで体の調子はどうだ?」
どうにか平常心を繕ってそう聞くと、自分の体をあちこちと確認しているようだった。
「もしかして、手入れをしてくれたんですか?」
信じられないという顔でそう言う今剣。
「当たり前だろう!!破壊寸前で運ばれてきたんだぞ!」
やってしまった。ついついきつい口調で怒鳴ってしまった。
「本当に手入れで傷が治るんだ…、すごい…」
感嘆してポツリと呟かれた言葉は、まるで今まで手入れを受けたことが無いような言葉ではないか…
「……今剣は…、手入れを受けたことがないのか…?」
「ないですよ」
否定してほしいという願いも虚しく、まるでそれが当たり前であるかのようにあっけらかんとそう答える今剣。
どこまで、前の審神者は酷いやつなのか。
そしてそこの俺も…
しばらくの沈黙後、何かを思い出したようにハッとし、顔がどんどん青ざめてく。
「ここの審神者様に謝りに行かないとっ。すみません、どこにいますか」
その声には、焦りが滲んでいた。
まるで、そうしなければ何か悪い事が起きるかのように
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林 - よっっしゃゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!更新されとるでぇぇぇぇ!!!!!続きすっごく楽しみにしています!御忙しいとは思いますが、これからも頑張ってください! (2020年9月5日 0時) (レス) id: a938136fc3 (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - ふぉぉぉぉ!!更新されとる!!やった!更新お疲れ様です!!続き読めて嬉しいです!有り難う御座います! (2020年9月1日 1時) (レス) id: a576ecff6a (このIDを非表示/違反報告)
もち米(プロフ) - かなさん» コメント、ありがとうございます!返信もなにもかも遅くなってしまって申し訳ないです。このお言葉を糧にして、なるべく更新を頑張っていきます! (2020年9月1日 1時) (レス) id: 85fb984252 (このIDを非表示/違反報告)
かな - え?こんなところで終わりです?まだ何も始まってないですよ?この小説好きなので、ゆっくりでもいいですから、更新お願いします。 (2019年9月20日 1時) (レス) id: d7e3d4614a (このIDを非表示/違反報告)
和菓子(プロフ) - 黒猫さん» 黒猫さん、コメントありがとうございます!展開が遅くて申し訳ないのですが、続きが気になると言っていただけるなんて。応援力出ました。少しでも更新が早くできるよう頑張っていきます! (2019年6月17日 0時) (レス) id: 4dc34b2f3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もち米@前は和菓子 x他1人 | 作成日時:2019年5月3日 1時