入院中・四 ページ45
「彼奴の顔は資料で見た。−−貴方が彼奴について、知っていることは何」
「さあ……、マフィアの領土を執拗に狙う、頭のおかしい奴だとは思うけど」
「そして、貴方の父親？」
「はあ」
彼女はもしかして、暗殺者と云ったことを根に持っているんじゃないだろうか。ストレートな追及に、耳を塞ぎたくなる。
「それは今日初めて知ったけど」本当かどうか、確かめる術は僕にはない−−しかしそれが虚言であるのなら、奴とこの横浜との接点は、ゼロだ。
「奴が−−『孤城の聖騎士』が、突然横浜に降り立ったのは、何故だと思う？」そんなの判らない。一緒に暮らしたことなどないのだから−−奴の思考が読めるはずもないのだ。「僕に聞かないで」
「探偵社も一人、襲われた。……太宰、という人が」
僕の反応は早かった。「太宰？太宰……治？」いや、そもそも何故探偵社が狙われるのだろう。
「奴は横浜の異能組織を片っぱしから襲ってる。でも、利益も大して上げてない」彼女は僕を見た。その中にある感情は、その目が如実に語っている。
「貴方のために、周りは傷ついてる」
そう云い放って、彼女は立ち上がった。「それじゃあ、今日は帰る。……探偵社に来るなら、マフィアより確実に貴方を守れる」
廊下から足音が聞こえていた。夜明けと同時の看護師の回診。
「……考えておいて」窓を開け、兎のように跳躍する。夜色の髪が流れて、やがて消えた。
「僕のせい……か」
僕は目を閉じ、そうひとりごちる。
突如、横浜に攻撃を仕掛けて来た『孤城の聖騎士』。奴らはそれによって、新たな販図を手に入れた訳でも、ヴィジネス・チャンスを得た訳でもない。彼らは、「それが目的ではない」のだ。
では何が目当てなのか−−それを『僕』だと仮定すれば、今までの事件の辻褄は合う。奴は僕を手に入れたがっていて、しかし僕の手掛かりは異能持ちということだけ−−だから、僕が在籍している可能性のある組織の人間を片っぱしから襲っている……
マフィアの武力を持ってすれば、奴らを叩くことは不可能ではないだろう。
しかし、ああいった組織は、頭を−−即ち長を潰さねば、永遠に動き続ける。
奴を−−フルトブラントを引きずり出すには、いったいどうすべきか。答えは簡単に出た。僕はサイドテーブルの携帯に手を伸ばす。
◇◇◇
中也出なくてほんと申し訳ありません。次には！次には出ます！たぶん……
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こんぺいとうくん(プロフ) - コミュ障の極みさん» ありがとうございます〜！！頑張ります！DA、中也さん格好良過ぎでした… (2018年3月16日 21時) (
レス) id: 89d22ed41a (このIDを非表示/違反報告)
コミュ障の極み - デッドアップル観れなかったァァ！あと面白いです！更新ファイトです！ (2018年3月15日 18時) (レス) id: 0c405ae39e (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとうくん(プロフ) - 真昼さん» あ、あ、ありがとうございます…！（コミュ障）すごい嬉しいです…頑張ります！！ (2018年3月10日 15時) (レス) id: 89d22ed41a (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - すごい面白いです、頑張ってください！ (2018年3月9日 23時) (レス) id: 85666cc382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとうくん | 作成日時：2018年1月29日 17時
