思わぬ仕事・四 ページ35
「嘘だろ……」
目に飛び込んできた風景を形容するならば、まさに『夢のような光景』だ。
Ｑが−−誰にも心を開かない、反骨精神に溢れたあのＱが−−Aと談笑しているのを見た時は、そんな陳腐な台詞しか思いつかなかった。
『 誓いあった希望なら 今も僕の中で燃えてる
それ以外に 頼りにできるものなんてないけど
だけど 信じてるんだ 笑いあってたいんだ
いつか僕らの世界を取り戻すために 』
響く歌声。楽しそうに笑う彼奴は、まるで慈しみ深い母親のようにＱを抱き寄せる。
嘘−−だろう。あのＱに、素手で触れるなど……
「あっ、中也さん」Aは此方に気づき手を振った。
「……中也さん、だ、仲良いの？」
「うん、やっぱり上司だしねー。迎えに来てくれたんですか？」
「……帰っちゃうの？」
俺は身構える。奴の口唇が薄く震えている。−−感情が爆発する前兆。
「行かないでよ、ずっとここにいて。友達なら僕の云うこと聞いてよ！」
なんて勝手な理屈だろう。剃刀が肌を刺し、Aの首に痣が浮き上がる。
「Aっ、」俺は叫んだ。恐れていたことが、起きて、しまうのか？
−−しかし、結果的に云えば、Aが操られることはなかった。
『 ねんねんねん ねんころり
静寂訪れ 子らは眠たし
今宵は眠れ 暖かな闇に抱かれ…… 』
Aの異能が、Ｑの異能に打ち勝ったのだ。
唖然とする俺をよそに、Ｑの耳元で囁く−−「明日また、来てあげるからね」その姿は何処か神秘的で−−息を飲んだのを、覚えている。
◇◇◇
「やっぱりAくんはすごいねえ……」
森は溜め息を漏らした。手元にあるのは報告書だ−−『同じ精神操作の異能者で、人を手懐けることができるか』概ねそんな内容の。
Aの存在は、組織の中でも最重要の位地を占めつつあった。誰にも制御できぬと思われていた核弾頭−−芥川と夢野−−を、操れるようになったからだ。
「これはもう−−無視はできないね」もう一つの資料は、武装探偵社が彼の奪還に動いているという旨のもの。
「Aくんを奪われる訳にはいかない」
森の目は冷徹だった。それは未来を見据えていた。
『たった一人の異能者を巡りマフィアが闘う』−−誰にも予想できないような、そんな未来を。
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こんぺいとうくん(プロフ) - コミュ障の極みさん» ありがとうございます〜！！頑張ります！DA、中也さん格好良過ぎでした… (2018年3月16日 21時) (
レス) id: 89d22ed41a (このIDを非表示/違反報告)
コミュ障の極み - デッドアップル観れなかったァァ！あと面白いです！更新ファイトです！ (2018年3月15日 18時) (レス) id: 0c405ae39e (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとうくん(プロフ) - 真昼さん» あ、あ、ありがとうございます…！（コミュ障）すごい嬉しいです…頑張ります！！ (2018年3月10日 15時) (レス) id: 89d22ed41a (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - すごい面白いです、頑張ってください！ (2018年3月9日 23時) (レス) id: 85666cc382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとうくん | 作成日時：2018年1月29日 17時
