出逢ったときの話・二 ページ4
ああ、終わった、と思った。僕のような抵抗する力のない一般市民が、こんなところに来てはならなかったのだ。叫び出しそうになるのを堪え、恐る恐る振り向く。
「おい……、大丈夫かよ。ずぶ濡れじゃねえか」
そこに立っていたのは−−小さな青年だった。
少し乱暴な口調とは裏腹に、上品で仕立ての良さそうな服を着ている。赤みがかった茶髪、鋭い青の瞳、そして何より目を引くのが、お洒落な帽子だ。
……この人は、何者だ？
貧民街に住む浮浪者、という風には見えない。それが何故こんなところにいるのだろう。
とはいえ、その疑問は僕にも云えることだった。
「大丈夫か……？風邪引くぞ」
確かに僕の風貌は異様だった。ずぶ濡れの服もそうだけれど、何より−−泣いているのに笑っている。端から見たなら不審者だ。
でも、あまりに慌てた僕は、的外れなことを云った。「はい、大丈夫です……」
彼は眉をひそめた。僕は何だか恥ずかしくなって、かけていた眼鏡を押し上げた。
「ここは手前みたいな奴が来るところじゃねえぞ」
早く家に帰りな。
そう云われて、今度は僕が眉をひそめる番だった。この人に僕はどう見えているのだろう？僕は……
「家、ないんです」
そう云うと、彼の表情が変わった。
「僕、行くとこ、無くしちゃったんです、さっき」
何でもないことのように云った。顔にはまだ笑みが浮かんでいた。けれど、悲しくて仕方がない。
「もういっそのこと貧民街で暮らそうかなって」悲しさを紛らわしたくて、冗談めかして云った。
彼の顔はますます険しくなっていく。
ああ、僕、返答を間違えたのか。心配してくれた人を怒らせてしまった……
彼は、要領を得ない僕をどうするか考えあぐねているようだった。申し訳ない、と思う。彼にだって都合があるだろうに。もう善い、もう善いのだ。僕のことをほんの一瞬でも心配してくれた、それだけで−−だからといって、問題が解決した訳じゃないけれど。
しかし、卑屈な考えに囚われた僕にかけられたのは、全く予想もしない言葉だった。
「じゃあ俺ン家来るか」
理解するのには少し、時間が要った。
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こんぺいとうくん(プロフ) - コミュ障の極みさん» ありがとうございます〜！！頑張ります！DA、中也さん格好良過ぎでした… (2018年3月16日 21時) (
レス) id: 89d22ed41a (このIDを非表示/違反報告)
コミュ障の極み - デッドアップル観れなかったァァ！あと面白いです！更新ファイトです！ (2018年3月15日 18時) (レス) id: 0c405ae39e (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとうくん(プロフ) - 真昼さん» あ、あ、ありがとうございます…！（コミュ障）すごい嬉しいです…頑張ります！！ (2018年3月10日 15時) (レス) id: 89d22ed41a (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - すごい面白いです、頑張ってください！ (2018年3月9日 23時) (レス) id: 85666cc382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとうくん | 作成日時：2018年1月29日 17時
