【問答打】漢字三字。【短編集】

被検体#sgmr#猟奇#リク ページ30

出来損ないの人型クリーチャーを貰った。
生物兵器として利用したかったらしいが、どうにも人を喰らうことが出来ないそうだ。
そこいらのクリーチャーは人を喰わねば生き延びることが出来ないから実験に利用していい、と。
怪物なんて滅多に入らない検体だ。ありがたく頂くことにした。

檻に収容された”それ”は酷く怯えている様子だった。
「初めまして、僕は須貝駿貴。…須貝でいいよ！」
「…す、がい、さん」
俺のことを害のない人間だと思ったのか、”それ”はたどたどしく俺の名前を復唱する。
「僕の言葉は理解できるかな？きっとそれくらいの知能はあるよね」
「…はい」
「うん、ありがとう。実験始めるのは明日からだから、今日はゆっくり休んでね！」

取り敢えず牛肉と騙って人肉を与えることにした。
いや、人を喰えないのを疑っているわけではなく。これも実験の一環として。
…はて、飯だと呼ぼうと思ったが名前が分からない。
目の前の厚いアクリル板を叩いて”それ”を呼ぶ。
「…どうされましたか」
「そういや名前聞いてなかったなーと思って、教えてくれる？」
「タクヤです、…名字は知りません」
「タクヤくん言うんか！教えてくれてありがとうな
あー、ほんでご飯の時間だよ」
「ご飯なんて出るんですね、ここ」
何やら意味深な発言だ。
「前んとこ出てへんかったん？」
「あー……ぼく失敗作なので」
「なんやもう可哀想になぁ、ここなら三食ちゃーんと食わしたるからな」
三回も食事をする余裕があるかは知らないが。
「今日のは牛肉焼いたやつ、味付けなんもしてへんからお塩とお醤油お盆にのってる」
「わ、…豪華ですね」
「やろ？今日は奮発したんよ」
人間の死体なんて毎日出るし、困ることも無い。
「んじゃごゆっくり」
そう言って部屋を出る。

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