【問答打】漢字三字。【短編集】

悪戯祭#kwmr+sgi#kwmr+fkr#kwmr+tm ページ19

「須貝さん、トリックオアトリート」
急に河村さんに声をかけられた。
「…そういや今日ハロウィンだったな」
「はい、お菓子ください」
だめだ。断るに断れない。目がキラキラしすぎている。
困った。今日はあいにく手頃なお菓子を持ってきていない。
「いや〜〜ちょっと待っててな、」
と鞄の中を漁る。
しばらくその動作を続けていると、小さなポケットの中にキャンディが三つ入っていることに気がついた。
「あった！」
あまりの嬉しさにそう声を上げてしまう。
「…びっくりした、急に大きい声出さないでくださいよ」
「ン〜〜それはスマン
でも見つけたよ、どの味がいい？」
「じゃあいちご味で」
俺の手の中にある一粒をひょいと取って、彼は身を翻した。
「ご馳走様です」
そう言ってまた菓子をねだりにふくらさんのところへ行った。

「ふくら、トリックオアトリート」
急に河村に声をかけられた。
「はい」
ノールックで河村に煎餅を渡す。
「うわ用意周到かよ」
「だって今日ハロウィンじゃーん」
「須貝さんは忘れてたのに」
「誰もがハロウィンのことを忘れていると思うなよ」
まあ河村のことだからこんくらいのことはしてくると思ったよ。
「でも悪戯はする」
それが聞こえた途端、目の前にムカデがいた。
「？！？！？！」
声にならない叫び声を上げてしまった。
後ろにいる元凶はくつくつと笑っている。ふざけるなよ。
「おもちゃなのに何ビビってんの笑うんだけど」
「こんなん誰でもビビるだろ！！」
オフィス中の視線が俺に向く。
「……すみません」
この悪戯大魔王が。
菓子をもらった上に悪戯をして満足したのだろうか、とむの方へてちてちと歩いていった。

「とむー、トリックオアトリート」
急に河村さんに声をかけられた。
「ああ河村さん、Happy Halloween！」
そう言いつつ目の前のポーチからチョコを取り出す。
「はい、これでいたずらはなしでいいですよね」
彼の手にそれを握らせるとまっすぐデスクへと戻っていった。
ふくらさんみたいな目に遭わなくて良かった……

＿＿＿＿＿＿＿
Happy Halloween！！
お久しぶりです。
最近全く投稿ができておらず申し訳ありません……
リアルが忙しく、まともな執筆もできていない状況です。
これからもこのように不定期という形にはなってしまいますが、変わらず応援してくださると嬉しいです！

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