【リレー小説】この無慈悲な世界に能力で希望を【第九章】 (ページ4)

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封【御魂/ユウミ】ページ4

聖と双六をしていたら、千春さんが現れた。
どうやら、帝華さんに入れてもらったようだ。

気にする素振りを見せず、賽を転がそうとした

「ああ…千春…ッ!!!!ヤメロヤメロ!!!裂ける裂ける裂ける裂ける裂ける裂ける!!!!」

怜加さんが突然、叫んで苦しみ始めた。

怜加さんにかけられた呪いは、正当な契約を元にかけられたもの。

いわば、正規の契約。

それを強引に解くのだから、本人にも多少の負担はあるかもしれない

でも……身体が裂けるほどの負担なんて、ありえない。

「!?れ、怜加さん!?呪いは解いたというのに…!?まさか…」

「の、ろいがつよ、くなっガハッ」

強くなった？

ここは、別世界。

干渉できるのは主(帝華さん)のみ。

考えられる理由は…

「犯人も、この空間にいる…!?」

私がその筈に辿り着いた瞬間、怜加さんの背中が裂けて黒い影が出てきた。

水晶の首飾りが、強く光る。
悪しきものを遠ざけるように。

このままでは、いくら呪いを解いても解いても終わらない。

呪いをかける者が現実世界にいればよかったのに……かけて解いてを繰り返していたら確実にこちらが負ける。

なら、突っ込んでやろう。

無茶をすると魂が壊れるかもしれない、ちゃんとお別れできないかもしれない。

意地だ。

首飾りを掴んで、一歩進む。

「!?」

聖が驚いたような顔でこちらを見る。

まだ賭けは終わってないものね。

「如・是・畜・生・発・菩・提・心」

悟りを求める心は、人も家畜も同様であるという遠い時代の宗教の教え。

「あなたには、そんな心が一寸でもあるかしら！」

影に水晶もろとも突進する。
水晶には倒すほどの威力はないが、良い攻撃にはなる。

「はっ!?」

影が驚いたような呆れたような声を発した。
水晶で影を皆から牽制し、捕らえる。

「もうやめてくださいな。私が一緒にいてあげるから」

あなたを倒したら、私も壊れてしまうから。

「な……」

水晶の中に影を閉じ込める。

地獄でも天界でもない。

無

「やった…？」

と、誰かが呟いたと同時にピキッと身体にヒビ割れた。

魂は、入れ物と共にあるからこそ強靭な耐久を誇る。

しかし、今の私は魂のみ。
非常に脆弱な状態。

こんな状況で封印などすれば、先は見えている。

ごめんね。

何もあげられなくて

強い身体も

能力も

絆も

心も

愛も

私はあなたに何も残せなかった。

――――――
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