百十四 ページ25
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当直明けで、報告をしてすぐに部屋に帰ろうとした時だった。
近藤に肩を叩かれ、そのまま着いていくと、部屋には沖田と土方がいた。
沖田は珍しく大人しく座り、こちらを見ている。
(やばい…なんかやらかしたかな)
復帰早々ミスを冒したかと、ばくばくと心臓の音が早くなる。
恐る恐るしゃがみ込み正座する。
縮こまるようにして肩をすくませ、見上げるようにして近藤を見れば、
「どうした。そんな小さくなって」
はっはっと、大きな声で笑った。
そして、近くの棚から書類を出して手渡した。
きゅっと目を細め、わざとぼかすようにして見る。
「異動…」
(千影と同じ事務になるのか…それとも今更降格?)
勇気を出して、目を開いていけば、
「一番隊…
副隊長…に、任命、する…??」
頭が真っ白になる。
思考回路が崩壊していく。
考えれば考えるほどに混乱していく様に、
「面白え。こんなに人が取り乱してんの初めて見やした」
沖田はくくっと笑い、腹を押さえる。
土方はそんな彼の頭をぱしっと叩いた。
「Aー落ち着けえ?大丈夫かあ」
「す、すみません。突然でびっくりして…。
でも…どうして」
ついこないだまで入院していた身だ。
昇進する心当たりは微塵もなかった。
そう尋ねると、土方はふうと溜息をついた。
「随分前から、お前の昇進は決まってたんだよ。
掟を変えるほどの正義感、危険を顧みない行動力、組織上層部に女を入れたいっていう上の御達し。
この全ての条件が重なって、辞令を出そうとしたタイミングで、お前が入院」
「はい…すみません」
「謝んな。怪我するまで身を挺したお前の行動はまた上から評価されたんだ。
復帰してから、お前に任せるには十分すぎるほどの成績だったんだとよ」
がむしゃらに努めてきた日々が認められた気がして、胸が熱くなる。
三人の顔を順々に見れば、優しい瞳でAを見ていて。
「おめでとう、A…いや
一番隊副隊長、A。
今後ともよろしくな」
「…はい!!よろしく、お願いします!!」
勢いよく深く頭を下げれば、
「…ったく、俺に尻拭いさせねえで下せえよ」
新たに直属の上司となる茶髪の彼が毒づいて、舌を出した。
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Nattu(プロフ) - ももさん» すみませんお返事遅くなりました;;レスありがとうございます嬉しい;;ゆっくりではありますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。引き続き読んでいただき誠にありがとうございます。* (2022年9月9日 0時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - こちらこそ、返信ありがとうございます!早速読まさせていただきます。再開おめでとうございます!!! (2022年9月4日 0時) (レス) @page27 id: 295133b60c (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - ももさん» 初めまして!コメントありがとうございます!いつも更新を楽しみに…なんて凄く嬉しいお言葉ありがとうございます;;嬉しい〜;;また再開したので遊びに来てくださいいい!ももさんに出会えることを楽しみにしています* (2022年9月2日 0時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - 慎さん» 慎さ〜ん!またコメントくれて本当に嬉しいです;;また再開致しましたのでお付き合いいただけたらと存じます。慎さんとまた会えて嬉しいです;; (2022年9月2日 0時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 初コメ失礼します。本編では大変楽しく読まさせていただき、いつも更新を心待ちにしていました!また、短編を作り始められましたら、ぜひ読みたいです! (2022年8月30日 0時) (レス) @page27 id: 295133b60c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2022年5月30日 19時