百十三 ページ24
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「お疲れ様です」
「おう。お疲れさん」
すれ違うようにして、互いに与えられた持ち場へと足を向ける。
日々移り変わる状況に振り回されながらも、職務についていた。
そんな中で、周りに大きな影響を与える変化もあって。
「ほらほら、手が止まってる!そこで、腕立て五十!」
「ひい…千影さん、鬼っすよ…僕ら一線で働く訳じゃないんすから」
「何ぃ?まだ追加する?」
「い、いえ、ごめんなさい…いーち、にーい」
視界の恥に同期の彼女が見えて、足を止める。
敬礼すれば、それは元気よく返ってきた。
千影は武道指導者として、再雇用が決まったのだ。
それはAが真選組に戻ってくる頃には、松平との間で話はついていたらしい。
また、真選組の新しい取り組みとして、使用する道具の管理や発注、経費管理など、事務の職種を設けたのだ。
その第一号として、兼任として千影が担当することになった。
すでに組織のことを分かっている彼女に声がかかるのは、時間の問題だっただろう。
「A。おつう」
「おー。千影、お疲れ様。
ありがとね、足りない分発注してもらって。助かったよ」
「ったくう。次はなくなる前に言ってよね」
また同室になった彼女は、頬を膨らませた。
変わらず、千影の机の上にはお菓子の袋が広がっている。
ん、と言いながら差し出され、口で受け取った。
仮眠を取ろうと首元を緩めていると、
「Aさん。最近は随分といい顔になりましたねえ」
千影がにやにやしながら、こちらを見ていた。
頬杖をついて足を揺らす。
その視線を無視して、手を止めずに服を脱いでいく。
千影は立ち上がり、その手を掴んだ。
「Aちゃん、無視しないでもいいじゃなーい」
「千影には関係ないもーん」
「へえ。本当に関係ないのかなあ?」
彼女は人差し指でAの頬を突き刺して笑う。
千影は所謂キューピットのような存在なのだ。
世話になってもなりきれない。
それを茶化し誤魔化して、彼女と戯れる時間が帰ってきたことが嬉しくて、わざと口をつぐむ。
ふと、千影は動きを止め、優しく笑う。
「また、Aと一緒に仕事できるなんて、最高じゃん」
彼女はぐいと拳を突き出し、顎でしゃくる。
それに応えるように拳を突き出せば、
「おかえり。マイバディ」
勢いよく拳をぶつけて、二人で歯を見せて笑った。
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Nattu(プロフ) - ももさん» すみませんお返事遅くなりました;;レスありがとうございます嬉しい;;ゆっくりではありますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。引き続き読んでいただき誠にありがとうございます。* (2022年9月9日 0時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - こちらこそ、返信ありがとうございます!早速読まさせていただきます。再開おめでとうございます!!! (2022年9月4日 0時) (レス) @page27 id: 295133b60c (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - ももさん» 初めまして!コメントありがとうございます!いつも更新を楽しみに…なんて凄く嬉しいお言葉ありがとうございます;;嬉しい〜;;また再開したので遊びに来てくださいいい!ももさんに出会えることを楽しみにしています* (2022年9月2日 0時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - 慎さん» 慎さ〜ん!またコメントくれて本当に嬉しいです;;また再開致しましたのでお付き合いいただけたらと存じます。慎さんとまた会えて嬉しいです;; (2022年9月2日 0時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 初コメ失礼します。本編では大変楽しく読まさせていただき、いつも更新を心待ちにしていました!また、短編を作り始められましたら、ぜひ読みたいです! (2022年8月30日 0時) (レス) @page27 id: 295133b60c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2022年5月30日 19時