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九十. 在り方編 ページ1

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『助けて下さい!今強盗が押し入って、刃物を…うわっっっ』




「大丈夫ですか?!聞こえてますか?!」



『………』




「もしもし!?無事で」




『…土方十四郎と沖田総悟を出せ』




「…貴方、どちら様ですか」




『無駄な話はいらない。もう一度言う。







土方と沖田を出せ』




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古びた屋敷だった。
鬱蒼とした植樹がまるで森林のように茂っている。




「…ったく、俺達に何の用だ」




土方と沖田は嫌そうな顔をして立っている。

電話はすぐに切れてしまい、状況はよく分からないままだ。
最初に電話してきた女性はどうなっているのか、強盗はどんな人物なのか、簡単なことさえも分からない。
しかし、一つだけ分かることは、犯人は沖田と土方を敵視していること。




「お二人も恨まれる人で、思いつくことないんですか」




そう言うと、二人は顔を歪める。




「恨まれるってったって、思い当たることばっかですぜ」




「でなきゃ、この仕事やってらんねえだろ」




土方は色々考えて苛ついたのか、煙草を咥えた。

二人で来いと言われたものの、現場にはA含め三人だ。
屋敷周辺に何人もの隊士を配置しているが、息を潜めている。

被害者であろう通報者は女性。
また、犯人は沖田や土方と対峙することが目的だと予測される。
もし、刃を向ける場面になってしまった場合、被害者を助ける者が誰もいなくなってしまう。
それが故の、Aである。



(不気味な屋敷…)



人気も感じない大きな建物に圧倒させられる。
悪寒が走り、背筋が伸びる。
それに気がついて、沖田は笑う。



「何、怖がってんの」




「違います。なんかこの屋敷、何も気配を感じなくて変だなって思って」




「同感だ。強盗が立てこもっているとは思えねえ」




三人並び、前へ前へと進んでいく。
入口に近づく度にその不気味さは増す。



「いいか。お前ら、気を抜くんじゃねえぞ」




「へい」




「はい」




「着いてこい」




当たり前のように役職順に縦に並び、中に入る。

ぎしぎしと古い板が音を鳴らす。
やはり、人気はない。
扉に通りかかる度に開けてみるが、人は一人もいない。
それどころか荒らされた形跡すらもない。






「強盗っつったよな?」






首を傾げながら、廊下を歩き進めた。


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九十壱→



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Nattu(プロフ) - ももさん» すみませんお返事遅くなりました;;レスありがとうございます嬉しい;;ゆっくりではありますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。引き続き読んでいただき誠にありがとうございます。* (2022年9月9日 0時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - こちらこそ、返信ありがとうございます!早速読まさせていただきます。再開おめでとうございます!!! (2022年9月4日 0時) (レス) @page27 id: 295133b60c (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - ももさん» 初めまして!コメントありがとうございます!いつも更新を楽しみに…なんて凄く嬉しいお言葉ありがとうございます;;嬉しい〜;;また再開したので遊びに来てくださいいい!ももさんに出会えることを楽しみにしています* (2022年9月2日 0時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - 慎さん» 慎さ〜ん!またコメントくれて本当に嬉しいです;;また再開致しましたのでお付き合いいただけたらと存じます。慎さんとまた会えて嬉しいです;; (2022年9月2日 0時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 初コメ失礼します。本編では大変楽しく読まさせていただき、いつも更新を心待ちにしていました!また、短編を作り始められましたら、ぜひ読みたいです! (2022年8月30日 0時) (レス) @page27 id: 295133b60c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nattu | 作成日時:2022年5月30日 19時

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