Angel of Death【雷堂メラ】

19話　時は刻一刻と ページ22

「…今日が最終日…」



その言葉に、皆が深刻そうな顔をする。
今日見つけなければ、退学処分。
YSPクラブの支持率も恐らく落ちる。
生徒会にも知れた案件となり、廃部を告げられる可能性も上がる。
なんとしてでも見つけなければ、という決意が結びついた。



＿＿＿＿ただ、決意が答えへと結んでくれる訳ではない

案件のタイムアップは、刻一刻と取り繕われた。
残るは…部活動。
YSPクラブ一同は、考える時間を切り払った。
とりあえず、探す。
誰も行っていない場所を徹底的に。


その時、ふと誰も行っていない場所を思い出す人物が居た。

最近のマフィア幹部はどうも暴れていることが多いらしい。
あそこは余程勇気ある者しか立ち入ることすら出来ない。
彼は、自分の所属する部を改めて見るが、勇気あるとすれば、ジンペイ位。
でも彼は自慢の足で路地裏を一気に駆け抜けて探す様で。

そして昨日。
『もし新しい幹部がみなの言う霊鬼神だったら』という予想も搾り取られた。
そのことを踏まえ、幹部の集まり…旧校舎は極めて可能性にかけれる場所だ。









「っ…!?」



旧校舎に顔を出したのは、雷堂メラ。
彼が目にした光景はいかにも残酷な光景だった。
古び、ひび割れ、ツタの伸びる校舎の前で、一人の少女が倒れていたのだ。
欠けたフードであまり表情は読み取れなかったが、所々怪我をしているようだ。
彼は直ぐに駆け寄り、少女の体を揺らす。

反応は無し。
彼は直ぐに彼女を抱える。
そこで、あることに気づいた。



「…コレ……お前…あの時の…?」



注目したのは、首元の傷。
前よりはかさぶたになっているが、やはり新しいこの傷。
あの空間から忽然と消えたあの少女。
間違いない。と彼は確信した。

でも

名前は知らない。


もし彼女が霊鬼神だったらと言う希望も少し抱き、彼は学園までの道を急いだ。

20話　夢と現実の境目で→←18話　森林の朝は

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す