ひと鳴き ページ2
真冬が死んだ。
真冬が子猫の頃から飼っていたから、自他ともに認めるほど溺愛していた。
『ぅっ……まふっ…ゆ、ヒック…お、いてかない……で』
私には家族が居ないので、本当に真冬だけが私のそばに居てくれる存在だった。
家族が居ないのは、もう慣れてしまった筈なのに。
手に入れて失った時、初めてこの痛みを知った。
もう、戻ることは無いと言う現実と、辛さを。
***
『真冬……』
今日は真冬の誕生日"だった"。
『ねぇ、真冬。猫には命が9つあるって言うでしょ?もう一度、私のところに来てよ。』
なんてね。
真冬のお墓参りは、出来るだけ毎日してる。
今日は誕生日だし、猫用のケーキを買ってきた。
真冬がすきだったやつ。
帰りにその辺の野良猫にでもあげようかな。
『じゃあ。もうそろそろ帰るね。真冬。誕生日、おめでとう。』
あなたが生まれた日は秋。
と言っても、拾い猫だからお医者さんに言われた大体の日にちだから、よくわかんないけどね。
少し肌寒くなるこの季節は、あなたが居なくなってから、あまり好きではなくなった。
『〜♪』
真冬のお墓からちょっと歩くと、最近私に懐いた野良猫達がいる。
『さかた、うらた、そらる。ご飯だよ。』
褒められたことでは無い事は分かっている。
でも、見捨てるには無理で、飼うには真冬が亡くなったばかりだし、私には無理だ。
「にゃー!」
「みゃー」
「…ぐるるる」
さかたが1番元気な子。
うらたは坂田と仲良しで、よくじゃれてる。
そらるは静かだし大人しいけど、喉を鳴らしてくれるほど私に懐いてくれている。
それに皆、何処と無く真冬と重なる。
なんでだろ。
『今日はケーキとカリカリ。ケーキは皆で分けてね。さかた、うらたのケーキ取っちゃダメだからね。』
「にゃー…」
少し不満気に私を見上げて鳴いたさかたは、本当に話してくれているみたいで好きだ。
『じゃあ、また明日ね。』
「「「みゃ」」」
あー。かわいい。
いつか、拾ってあげたいな。
コツコツコツと、靴をならしながら家に帰っていると、ひょろひょろとした、の高身長の男が家の周りをウロウロしてた。
(こわ。不審者…だよね。)
でも、このまま家に帰らない訳には行かないし…
きっと大丈夫…だよね?
『…』
えいっ。走れ私。
「あっ!ご主人様!!!」
嘘でしょ。やばい。声かけられた。
『人違いじゃないですか?』
「何言ってるの?僕だよ。僕。分かるでしょ?」
怖。
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妖狐(メス)(プロフ) - 瑠理菜さん» ごめんなさい、作者の都合で途中で終わってしまったんです…… (2019年8月16日 14時) (レス) id: e2e1cb6c3e (このIDを非表示/違反報告)
瑠理菜 - 終わり方.........。 (2019年4月3日 13時) (レス) id: 3e7e48236e (このIDを非表示/違反報告)
miko-みこ-(プロフ) - 妖狐(メス)さん» 応援してる人にそんな事言われるなんて…天国かよ。いや、夢か? 本当に妖狐様と会話してるなんて…こんな幸せがあっていいのか?手が震えて来た…!腕が疼くっ! ごめんなさい本当に妖狐さん好きすぎる。夜のテンションやべぇ (2018年7月29日 23時) (レス) id: 680ed7089d (このIDを非表示/違反報告)
妖狐(メス)(プロフ) - miko-みこ-さん» え、優しいかよ…私のテンション好きとか…優しいかよ…ナメクジ更新許してくれるとか……優しいかよ。 (2018年7月29日 23時) (レス) id: 3918bf993d (このIDを非表示/違反報告)
miko-みこ-(プロフ) - 妖狐(メス)さん» レスありがとうございますぅ!踊っていただけるのなら次は躍り手デビューですかね(( コメントの許可をいただけるなんて…ハァハァ 更新速度?その間ずっと楽しみにしていられるので大丈夫です! やっぱり妖狐様のテンション好きです! (2018年7月29日 23時) (レス) id: 680ed7089d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:妖狐(メス)@自分の名前を思い出した。 | 作成日時:2018年6月30日 22時