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32話 ページ32

目の前で、何が起きてるのだろうか。
何でこうなってしまったのか。




遡ること、数十分前。朝早くに呼び出された俺は、奴等の鬱憤晴らしの為、殴られ続けていた。


晶哉はこんな早くには来ないし、他のクラスメイトも先生もこの時間帯には教室には、やって来ない。



「道枝、陰キャのくせに調子乗ってるよな。」

「それな!ほんと、ウザイ!」



耳に入る悪口は、聞こえないふりをして、耐え続けた。




「なぁ、何やってるん?」



突如、品の無い悪口だらけの教室に響いた声。俺も、奴等もよく知っているこの声は。




「晶哉っ、、?」



振り絞って出した声はかなり小さかったが、晶哉には聞こえたみたいだ。



「何しとんの?」

「晶哉っ、これはちょっとした遊びだよ!」

「そうだよ、な!道枝!」




顔を伏せたまま尋ねる晶哉に、奴等は必死で言葉を繕い、逃れようとした。



奴等に同意を求められたが、頷くことも首を振ることも出来なかった。



「阿呆やん、こんな虐めするなんて。1対3とかダサすぎやろ。


みっちーのことが羨ましいんやったら、ちゃんと公平に向き合ったらええやん。」



多分、その言葉が、奴等の神経を刺激したんだろう。奴等の顔が変わった。



「は?別に俺等は此奴のことを羨ましいなんて思ってねぇし。」

「なぁ、いいこと思いついた。」



一人のやつが、三人に耳打ちをする。瞬間、四人がニヤリと不吉そうに笑った。



もしかしたら、この時点で、俺等は嵌められていたのかもしれない。




「晶哉、お前が道枝の代わりになれよ。」

「は?」

「もし、お前が代わりになるんだったら、金輪際俺等は道枝を虐めない。

道枝の事が大事なんだろ?それぐらい出来るよなぁ(笑)」

「っ、、」




「晶哉、あかんっ!俺の代わりに晶哉が虐められるとか、あかんって!」



俺の声に、晶哉は振り向かなかった。



「ええよ、それで。みっちーのこと、虐めへんのやったら。」

「ははっ、マジかよww」



「ごめんな、みっちー」



そう言って振り向いた晶哉の顔は、穏やかだった。俺を安心させるために、彼は笑ったのだ。



震える身体を抑えつけて、ただ単純に俺を落ち着かせるためだけに。




「ほらよっと!!」

「いっ!!」



一人が晶哉の腹を殴る。晶哉の顔が苦痛で歪む。



俺は、目を閉じて耳を塞いで、他のクラスメイトが来るのを待つだけだった。



「ごめんなさいっっ、」



小さな小さな声で謝ることしか出来なかった。


晶哉と良規くんと、そして昨日約束したばかりの誠也くんに。

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(プロフ) - 明日香さん» ありがとうございます!次章も楽しんでいただけたらなと思います。これからもよろしくお願い致します! (2020年5月5日 11時) (レス) id: 842a00e709 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 最高でした!このお話から初めて読ませていただきましたがとても読みごたえがあり楽しかったです。また桜さんのお話に出会えることを願っています。 (2020年5月4日 13時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 明日香さん» コメント、ありがとうございます!これからも頑張って更新するので、お付き合い下さいませ<(_ _)> (2020年4月21日 16時) (レス) id: 842a00e709 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 毎日、更新楽しみにしています!このシリーズから読み始めたのですが、すごく読みごたえがあって大好きな作品です!更新頑張って下さい! (2020年4月21日 13時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みあさん» ありがとうこざいます!!できるだけ毎日更新していくので、どうか最後までお付き合い下さい!!コメント、ありがとうこざいます! (2020年4月11日 8時) (レス) id: 842a00e709 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年4月9日 14時

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