12話 翔太side ページ12
大学の授業の帰り道。辰哉は、レポートが終わっておらず大学に残り、涼太と共に帰っていた。
つまらない会話を交わしながら帰っていると、高校時代の後輩が見えた。
海人と仲が良く、愛想のいい人物。彼はきっと多くの人から好かれるような性格の持ち主。
声をかけると彼は驚きつつ、応えてくれた。小さな四葉のクローバーを手に俺らにある疑問をぶつけた。
それは亮平のこと。そりゃまぁ、知ってるか。こいつは星ヶ丘高校の現役生。噂も広がっているだろう。
「そうだよ、俺らの友達。高校の卒業式の当日だった」
素直にそう答えると彼は顔を歪ませた。海人と同じく心優しい子だ。亮平のことを心から悲しんでくれているのだろう。
「なんで、そんな、、、飛び降りなんて、、」
「実は、俺らも分かんないんだよね。実際の飛び降り理由を。遺書もなんも残ってなくてね」
涼太が教える。そういえば涼太は岸と同じ委員会だった気がする。心を許せば優しいのに、心を許さなかったら怖いんだよね。
「なんか、プライベートなこと聞いてさっせん。俺、行きますね。妹、待たせちゃってるんで」
昔と変わらないその謝り方。なんも変わってないんだね。俺も岸も。
「そっか、ごめんね。急いでるのに引き止めちゃって。またお互い暇な時に話そ。」
「はい！じゃあ今日はここで。」
よっぽど急いでいたのか、短髪の髪を盛大に揺らしながら去っていった。
「岸の母さん、また入院してんのかな」
岸が歩いてきた方向はきっと病院の帰り道だろう。
年中元気な岸とは違い、体の弱い彼の母親は岸が高一の時から入退院を繰り返していた。
しかも亮平が運ばれたことを知っているのだから最近、入院をしているのだろう。
一度だけ授業参観で会った岸の母親は笑顔が特徴的な人だった。明るく、ポジティブで人に好かれるような人。
岸のあの性格はきっと母親譲りなのだろう。
「そうかもね、あいつも色々あるしね」
何も考えていないようで実はとても考えている。彼も色々とあるのだろう。
きっとまだ彼は、神宮寺と仲直りしていない。だって中学時代スクールバックに付けていた地球のキーホルダーが彼には見当たらなかった。
「後悔だけはしないでほしいね」
涼太が自分に言い聞かすかのように呟いた。
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桜(プロフ) - ましゅまろん。さん» 誤字を教えてくださり、ありがとうございます！これからも頑張って更新しますので、最後までどうかお付き合い下さい。 (2020年4月30日 13時) (
レス) id: 842a00e709 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろん。(プロフ) - 突然すみません、43話なのですが、「いんげん」ではなく「いわげん」ではないでしょうか？お話、とても引き込まれる内容で楽しく読ませていただいています。更新、頑張ってください (2020年4月30日 11時) (レス) id: 22f8763a4a (このIDを非表示/違反報告)
みあ(プロフ) - 読み始めてからすぐにお話の世界に入っているような感じになる、素敵なお話でした (2020年1月28日 0時) (レス) id: 985d7c4caa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜 | 作成日時：2019年12月22日 12時
