紺碧の夜兎【陸】

誰だってメインディッシュになりたい ページ10

「てか、アイツさりげなく気持ち悪いって言いましたよ！」


あ、ちょっと止めてよ！酷い！
ワンワンが此方を指差して告げ口してくる。
こういうところは女子ぶりやがって！


「何ッ、」


アホ提督がそれに食い吐く。
見逃してくれたっていいじゃん！
せこいヤツ！
なんて、ワンワンへの恨み節を心の中で吐きながら、それっぽい言い訳をする。


「女子の気持ち悪いは、キモカワイイです！」

「そうなの？」

「ちげーよ！！」


ちょっと期待した様に問い掛けたアホ提督を、躊躇なくワンワンはぶった切った。
聴衆も同調するように頷く。


「よくもワシを騙そうとしたな！」


騙されたと理解したアホ提督は、怒りを露に命じる。


「コイツから処刑せよ！」

「え゛っ、私から！？」


不意討ちのような形で死刑宣告を受けた碧は、その衝撃で反射的に叫んでしまう。


「それって神威がメインディッシュってこと！？サラダはいやぁあああーー！！！」


せめてデザートでしょ！と喚く碧に、呆れた視線が集中する。
隣の神威も見下すような目で制してきた。


「見苦しい真似は止めろよ。これがお前の運命なんだ。潔く受け入れたら」

「誰のせいでこうなったと思ってんの！？神威のせいだからね！？」


そんな運命受け入れられるか！とそもそも論を繰り出す。
そうだ。
神威が口を挟まなければもっと時間稼ぎ出来たはずだったのに。


「まあ、今更喚いたって処刑されることは変わらない。ほら、来た」


言われるがままに、横を見れば、


「うわぁああ、来たァァ！！ちょ、ちょ、ストップ！まだ心の準備がぁ！」


ドスドスと屈強な処刑人が階段を上がってくる姿が見えた。
いよいよ処刑が目の前となって、パニックで叫ぶ。

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