紺碧の夜兎【陸】

結局、自分の味方 ページ7

「あるよね！絶対後ろめたいことあるよね！」

「そういう提督こそ、先程何か見せられて動揺してましたよね」

「いや、あれは……違う！動揺などするわけないだろう！いきなり突きつけられてビックリしただけだ！」


醜い争いを繰り広げる二人に、シナリオ通りの良い感じの展開だとしめしめと嗤う。
この言い争いが続けば続くほど好都合だ。
が、そんな小競り合いに水をかける声が響いた。


「つまらない言い合いはよした方がいいですよ。ここは一つ、写真を曝されないように先手必勝で早く捕らえて処刑すべきでは？」


捕獲、処刑。
この場を収めるという最悪の行為を進めてきた上、碧にとってヤバイワードを並べてきた、その声の主をバッと振り向けば。


「ちょっとォ！！？神威テメェ、誰の味方してるわけ！？」


信じらんない！！と仲間を売る衝撃発言をかましやがった神威に対して、感情を顕に怒鳴り付ける。
しかし、神威は冷淡にこの言い分を退ける。


「お互い様だろ」


まあ、確かに？
正論に思わず一瞬怒りが消え、グッと言い淀む。
言ったけど。
嬲っていいって言ったけど。


「でも私は死なない程度にって意味でギリギリまでって言ってあげたもん。神威のは完全に私、殺されんじゃん！」


不平等だ！ともっと怒りをぶつけたかったが、それを遮るように碧の周りを兵が囲んだ。
あ、やば。
振り返ると、アホ提督とワンワンが嗤ってた。
さっきまで喧嘩してたくせに！
一旦喧嘩を置くなよ！
決着つくまでやり続けようよ！
なんて、色々罵倒してる内に、


「あ、ちょっと待って、落ち着こ。刃物持ってジリジリ詰めてこないでよ！」


刃先を向けられ、徐々にその輪を狭めて追い詰めてくる兵達に向かってギブアップと両手を挙げ、叫ぶ。


「分かった！降参するって！だから、ちょ、来ないでよ！顔が怖いんだけど！わ、ちょ━━━」


しかし、必死な訴えも虚しく。
抵抗もままならないまま数秒後、碧の悲鳴が木霊したのだった。

味方同士の潰し合いとか見れたもんじゃないよね→←みんな素直が一番

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