紺碧の夜兎【陸】

地雷って何ですか？ ページ29

「あ、神威だ」


出入り口から戻ってきた神威を目敏く発見する。
神威に続いて何故か高杉晋助も出てきた。
どうやら彼も跡を追いかけていたらしい。
戻ってきた二人に気付いて、この場に喜びと歓声が上がった。
幾人かの団員達が二人に寄っていく。
それを見て、阿伏兎が碧に呼び掛ける。


「おい、行くぞ」

「あいあい」


促された碧はよっこらせと立ち上がる。


「神威ー」


人を避けながら阿伏兎と共に神威のもとに辿り着く。


「碧、阿伏兎」


神威がこちらに気付いて声を掛ける。
色々とまだ先程の怒り恨みが燻ってるものの、一先ず置いといてここは祝福を述べてやる。


「よかったねー、これで提督じゃん。出世したね」


すると、神威は微笑んで。
スッとこちらに手を伸ばしてきた。
視界いっぱいに神威の手。


「え、」

「えい」


━━ゴッ、


風圧を感じた次の瞬間には地面に仰向けで倒れていた。
え、と状況が分からないまま、ふと額の異様な熱さに気付く。
意識したら急速に額がズンズン、ジンジン痛みを訴えて、絶叫する。


「痛っだぁああああああああ！！！」


ゴロンゴロン地面を転がって痛みに悶える。
焼けるように痛い。
これは絶対あれだ。
でこぴんだ。
いや、そんなかわいいものじゃない。
血が流れてきたし、……なんか、シュウゥゥって変な音する。
え゛、煙出てるぅうう！？


「いきなり、酷いッ！！」


額を抑えながら涙目で憎たらしい飄々としたその顔を睨み付け、そう訴えれば、神威は一言。


「まだイラついてたから」

「理不尽！！」

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