紺碧の夜兎【陸】

別れの挨拶は大事 ページ19

「フン、まあいい。お前の処遇はもう決定した。無駄な時間を費やしてしまったわけだが、神威の処刑を始めようではないか」


やっと本題に戻ったことに、安堵とも疲れとも取れる空気感が漂う。
ずっと待ちっぱなしだった処刑人も、回ってきた出番に待ちくたびれたと言わんばかりに登場しようと階段を上って来る。
ええ……ちょっと待ってよ。
忘れかけてた焦燥が、碧の中で広がる。
結構晒しまショーで時間稼げたと思ってたんだけどな。
実際15分くらいしか経ってなかったかな……。
中々来ない助けに、何か問題が起きたのかもしれないと不安も募ってくる。


「神威、ごめん、助けられないかも」


これが最後。
私はもしかしたらなんとかなるかもだが、神威はこれ死んだなと確信し、隣の神威にせめてお別れの挨拶は言ってやろうと小声で抱いてきた思いを告げる。


「神威はクソだし、ずっと過ごしてきてロクな目に遭ったこと無いけど、腐れ縁だし多少の情はあるから神威の事は一生とは言わないけど忘れないからね」

「………………」


神威が黙りこんだ。
まさか、感動してる？
なんて思ったのも束の間、


「覚えとけよ」


地を這うような声だった。
笑顔だが、瞳孔が開いてる。
……これは笑顔じゃない。
蛇に睨まれた蛙のように固まる。
てか、この言葉さっきも言われたんだけど。
二回分の覚えとけを後でやられるってこと？
やべ、私死んだかも。
なんて絶望してると、

「まァ待てよ。アホ……阿呆提督。そいつぁ俺にやらせちゃくれねーか」


突然割って入ってきた声に、神威が気を取られて視線が逸らされる。
ヤバい圧が消えてホッと息を吐いて、救いをくれたその声の主に碧も視線を向けた。

友達が趣味を凄い熱く語ってくるから別に好きじゃないけど色々と知識がついてしまってることってあるよね→←勝ち誇った顔した奴は大体敗北フラグ立ってる

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