紺碧の夜兎【陸】

死なば諸共、遠慮は要らねェ ページ11

「ホントに！？ホントにこんなか弱い少女を殺っちゃう気ですかぁ！！？」

「ホントだ」


即答し頷く提督。


「えええ……そんなぁ、そんなのあんまりだぁ！」


絶望感に溢れた表情を見せ、碧はカクリ、と首から俯いた。
処刑されるとか、考えてもなかった。
殺られるんだったら不意打ちがいいよぉ。
なんか殺られるまでに時間かけられると、逆にこの待たされる時間が怖いんだけど。
なんてぐるぐると考えて、ふと、あれ？と違和感を感じて、思考を止める。
これ殺される前提の考え方じゃん！
なんか受け入れ準備しちゃってる自分に気付いて、ゾッとし、打開策を必死に講じる。
しかし、逃げ出すにも手足、胴の分厚い枷で流石の夜兎の力でも壊すのは出来なさそうだ。
嗚呼、どうしよう。
ぐるぐると迷走する脳内に、はっと突如道標が示された。
……そう、私にはまだ策はある。
ここで終わりじゃない。
━━死ぬんだったら、道連れだ。


「━━………分かった。百歩譲って処刑は受け入れてあげる」


どこか上から目線の発言に、アホ提督やワンワンは眉を潜める。
気にせずに、碧は顔を上げ、続ける。


「でも、危険を省みずにわざわざここまで一人でやって来て、何も成し遂げずーってのは悔しいよね。だから、最期くらいパーッとやりたいよね」


悪戯っぽく目を細め、笑みを浮かべる。
アホ提督はそれを鼻で嗤ってはね退けようとしたが、しかし、その目が笑ってないのに気がついた。
ぞわ、と背後に冷たいものが走る感覚に襲われ、無意識にじり……と一歩下がる。
嫌な予感がした。


「ぜーんぶ、晒しちゃおう！アホ提督とワンワンの秘密！！」

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