【SAO】白雪の姫 part3

君との幸せを ページ21

*キリトside*

２人で寝るには少し狭いベッドで一糸まとわぬ姿で安らかな寝息をたてるエイダをその隣に腰掛け見守る。

まだあどけなさの残る寝顔につい頬に手を伸ばし柔らかなそれをつついた。

それに反応したのか大きな瞳は開かれ、そのまま俺を映し出す。

キ｢悪い。起こしちゃったな。｣

あ｢ん。ちょっとだけ、夢見てたの。元の世界の夢だった。おかしいんだよ。｣

体勢を変えてエイダを見つめる。

あ｢夢の中で、アインクラッドの事が、キリト君と会った事が夢だったらどうしようって、すごく怖かった。よかった、夢じゃなくて。｣

キ｢変なやつだな…帰りたくないのか？｣

あ｢帰りたいよ。帰りたいけど…ここで過ごした時間が無くなるのはいや。私にとっては大切な2年間だったって、今ならそう思えるの。｣

大切な2年間…

俺と過ごした時間を大切だと言ってくれることが素直に嬉しい。

すると、エイダが布団で体を隠すようにして起き上がった。

ベッドがギシリと音を立てる。

エイダは少し目を伏せたまま口を開いた。

あ｢ねぇ、キリト君…ちょっとだけ、前線から離れちゃだめ…かな？なんか、怖いよ…すぐに戦場に出たら、また良くない事が起きそうで…｣

キ｢…そうだな。俺も、つかれたよ。｣

エイダの言葉にひとつだけ思い当たるものがあった。

キ｢22層の南西エリアに、森と湖で囲まれた小さな村があるんだ。2人でそこに引っ越そう。それ、で…｣

言葉に詰まる。

エイダは不思議そうに俺の顔を見つめている。

どうしても、これだけは言わなくてはならない言葉。

君だけに伝えたい言葉。

少しの勇気を振り絞って、喉に力を込める。

キ｢結婚しよう。｣

その言葉にエイダの瞳は大きく見開かれ、少し微笑んだ。

そして

あ｢はい。｣

大きな涙の雫とともに君の口から紡がれた言葉に、ほっと胸をなでおろした。

キ｢絶対に君を幸せにすると誓う。｣

あ｢違うよ。２人で幸せになるんだよ。｣

あまりにもエイダが綺麗に笑うものだから、思わずこっちまで笑みがこぼれてしまった。

そして、嬉しそうに笑う君をそっと抱き寄せた。

君と、幸せに。

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