壱 ページ1
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初めての後輩を持ち、もう一人前の隊士といってよい頃合いにそれはやってきた。
「いやあ…この時期ですねえ」
同居人はにやにやと笑みを浮かべながらこちらを見ている。
その手にはAと同じ封筒。
何も書かれていない無機質なそれは、より緊張感を煽る。
「だんだんとうちにもいろいろ配属先増えたし、どうなることやら…」
「そうなんだよねえ…。私は一応一番隊で副隊長なんて役職につかせてもらってるわけだし…千影ぇ…私何もやらかしてないよねえ」
「…ないんじゃない？」
「なにその間」
事前に異動について尋ねられたが、特に何も答えず今のままを希望した。
今の仕事が楽しかったし、何よりまだ副隊長としては未熟でもう少し成長したいと考えていたからだ。
きっとその意図を上は沿っているだろうが、書面として交付されるとやはり少し緊張してしまう。
薄目で封筒を開け、白い紙に目を通す。
千影は自分のを見終わったのか、すぐにこちらに来て、Aの紙を覗く。
そして、一言。
「…え。マジで？」
ぼんやりとしていた視界が、千影の一言で一気にはっきりと輪郭を帯びる。
目に飛び込んできた文字に、思わず言葉を失った。
『警察庁総務部人事課に異動を命ずる』
「…まじ？」
千影と顔を見合わせる。
彼女は顔を引きつらせたまま、ゆっくりと頷く。
傍から見れば、きっと大出世のはずなのだ。
しかし、素直に喜ぶどころか、絶望感に襲われていた。
「せっかくこの生活にも慣れてきたのに」
今までのように、街に出て警らし事件があれば駆け付ける。
仕事もプライベートも一緒くたにされた封鎖的な生活も、Aにとっては生きがいだった。
しかし、この一枚の紙切れはそんな生活はもうすぐに終わろうとしていることを意味していた。
新しい勤務先はこの屯所から別に遠い訳でもないが、一旦ここを離れ一人暮らしをしなければならない。
一緒に住めなくなっても休日さえ会えば、千影や同僚達と会えるだろう。
しかし、この仕事上なかなか休みが合うということは少ない。
「…ごめん。ちょっと、頭整理してくる」
そのままふらふらとしながら、竹刀片手に自室を出ていた。
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Nattu(プロフ) - amefurasi750さん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです;;銀魂のキャラはどの子も魅力的なので自分もそれをあまり崩したくない意識で書いていました^^どストライクとのお言葉嬉しすぎます;;本当にありがとうございました！ (2022年12月13日 0時) (
レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
amefurasi750(プロフ) - ありがとうございました！すごく心に残る話で、土方さんや沖田君たちの性格がそのままで安心して読むことができました！尚且つ土方さんと主人公ちゃんとのイチャイチャ具合がドストライクでした！ (2022年12月8日 8時) (レス) @page32 id: 0bed4b2b02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nattu | 作成日時：2022年9月1日 23時
