十六 ページ16
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「只今戻りました」
久しぶりに帰ってきた職場は出ていく時よりも汚くなっていた。
上司は無精髭を生やしたまま、おかえりも言わずに手を振る。
来客があるたびにAがみっともないと注意していただけあって、普段何も言わなければ本当に何もしないのかと、思わず大きく溜息をついてしまった。
彼は自分がいかに上手くやったのかプライベートが充実していたかなど、頼んでもないのにべらべらと話している。
そんな上司を無視して、散らばった書類を確認していった。
「真面目なこったねえ。忙しかったんだろ、あっち」
「忙しいって思ってたなら、部下に仕事回さないでもらえますか」
「ったく、上司に向かってよくそんなこと言え」
「とにかく今からしますので、残ったもの教えて貰っていいですか」
怒った声を出しぎろりと睨めば、彼は渋々仕事をし始めた。
案の定というべきか、回された仕事の量は膨大だった。
(今からやっても終わらないなあ…)
時計を見ていると、携帯電話が鳴る。
相手は見なくても分かる。
想い人の彼だ。
急いで部屋を出て電話に出る。
「すみません。連絡遅れました」
土方はふんと鼻を鳴らす。
外からがやがやとにぎやかな声が聞こえる。
きっと彼も屯所に着いたのだろう。
「着いたら教えろっつったろ」
「仕事が溜まってて…それしなきゃと思ったら忘れてました」
無意識に頭を下げながらにこにこと笑う。
仕事と聞き、土方の声色は変わる。
「んだよ…また、押し付けられてんのか」
「いつものことです。まあ、なんとなくそんな気がしてましたし」
「帰ってきたばかりだ。無理すんなよ」
彼の心配の言葉に言葉が詰まる。
宿で一緒に過ごして以来、彼はより素直になったような気がしていたが、それを実感して胸が煩くなり始める。
それに対する上手い返しも思いつかない。
黙っていると、土方はふっと笑う。
「…じゃ。俺も今から後処理があっから。
仕事が終わったら連絡しろ」
「待ってください。今日はきっと深夜になるので迷惑ですし連絡は明日でいいですか」
「駄目だ。
今日まで、俺がお前の上司だ。きちんと報告しろ。
明日以降は上司じゃなくて、こ」
そう言ったタイミングでトシーと呼ぶ声が聞こえてくる。
土方は慌てたように電話を切り、Aは思わずそのまま壁にもたれかかる。
(もうっ…局長のせいで)
その続きはなんとなく予想ができて、顔が熱くなっていた。
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Nattu(プロフ) - amefurasi750さん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです;;銀魂のキャラはどの子も魅力的なので自分もそれをあまり崩したくない意識で書いていました^^どストライクとのお言葉嬉しすぎます;;本当にありがとうございました！ (2022年12月13日 0時) (
レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
amefurasi750(プロフ) - ありがとうございました！すごく心に残る話で、土方さんや沖田君たちの性格がそのままで安心して読むことができました！尚且つ土方さんと主人公ちゃんとのイチャイチャ具合がドストライクでした！ (2022年12月8日 8時) (レス) @page32 id: 0bed4b2b02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nattu | 作成日時：2022年9月1日 23時
