Prolog ページ1
「すきだよ。」
って、本当は伝えたかった。
そしたらきっと貴方は、子供をあやすかのように笑って頭を撫でてくれただろう。
安っぽいような言葉なのかもしれない、けど、
なかなか言えなくて。
銀色のふわふわした髪を揺らして、いつも私に笑いかけてくれて、とってもとっても楽しい人だった。
強くて、優しくて、真っ直ぐで。
でも私の口から出た言葉は、「すきだよ。」じゃなくて「ごめんね。」だった。
私がもっと強ければ、貴方も貴方の大切な物ごと守れたのかな。
嫌でも感じてしまう自分の情けなさ。
無意識に性が違う彼等と自分を重ねてしまう戦場での劣等感。
誰からか……いや、
この世から感じる私を淘汰するシャーデンフロイデ。
自分が報われていないとか、そんなことを感じるわけではない。むしろ私には幸せすぎたのかもしれない。
けどそれは、私を嘲笑うための材料にしかすぎなかったのだ。きっと。
ただただ憎い。
私を弱いと見下し嘲笑うこの世界が、
本当に何もできない自分が。
そして愛おしいかった。
私を「家族」だと言ってくれた貴方が。
ごめんね。弱くて。
ごめんね。足でまといだったよね。
私、もっと強くなるから。
『ごめんね。銀ちゃん。』
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作者名:紺15 | 作成日時:2019年8月18日 0時