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あの夜、撮影終わり無性にプリンが食べたくなった
近くのコンビニへ寄るとそれは最後の一つで
良かったと安心した、その瞬間
前にいた女性がそれを手に取った
思わず あっ と声に出てしまう
しまったと思っていると、よかったらと彼女はプリンを譲ってくれた
『ありがとうございます』
買い物を済ませ店を出ると雨が降っていた
傘を持ってて良かった
出口を避けた所でさっきのお姉さんが
雨を眺めて立っている
傘が無いから雨が弱まるのを待っているのだという
女性1人こんな深夜に置いて行くのはあかんと謎の正義感が働いてしまった
プリンのお礼にと傘は彼女に渡し
自分は土砂降りの中走って帰った
翌日も、同じ時間にコンビニへ
偶然にも昨日のお姉さんに会った
いつ会えるか分からへんから雨も降ってへんのに傘持ち歩いてくれてたらしい
この人やったら顔見せてもいいか、そうして変装を外して挨拶をした
当たり前のように返事をする彼女
思ってたんと違う、もっとこうなんか反応してくれると思ったのに
自分がまだまだやってことを思い知らされる
内心恥ずかしいことしたなと思っていると携帯が鳴った
マネージャーからの電話
急用やったから
名残惜しかったが、すぐにその場を去った
二度ある事は三度ある
また会える、会いたい
ぼんやりそんなことを思ってしまった
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作者名：弦 | 作成日時：2020年7月13日 6時
