雨降る夜に待ち合わせを【桃】 (ページ9)

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三度目が訪れたのは、あの日から一週間ほど経った日やった
　
　
　
　
夕飯の買い出しに近所のスーパーへ
　
　
　
だいたい買い物が済んでレジに向かっている途中
　
　
　
振り向いた先に見覚えのある人
　
　
　
やっぱり会えた
　
　
　
二度しか会っていない、それも少し挨拶を交わしたくらい
　
　
なのに忘れられないあの雰囲気
　
　
　
　
『やっぱりそうや』
　
　
　
近づいて話しかけると彼女は少し戸惑った顔していた
　
　
　
挨拶を交わした後、彼女は
　
　
　
今日は傘を持ってないから返せないと謝ってきた
　
　
　
　
ちゃんと覚えてる、俺があの日貸した傘
　
　
受け取りそびれたのは事実
　
　
でも彼女の元に戻り受け取れたのも事実
　
　
それでも受け取らなかったのは、
　
　
また会えるという期待を持ちたかったから
　
　
　
三度目また偶然にも会えたことで、もう一度と欲張ってしまった俺は
　
　
　
『傘？あー、そういえば傘貸しましたね、
　失くしたと思って新しいの買っちゃいました』
　
　
嘘をついた
　
　
俺を忘れて欲しく無いから持ってて欲しい
　
　
　
そんなことは言えないからこんな嘘をついて
　
　
　
お姉さんにあげると言った
　
　
　
けれど彼女は頑なに返すと譲らず、挙句にはそのまま去って行ってしまった
　
　
　

　
　
　
ちゃんと連絡先を聞くんやったと後悔している
　
　
　
　
でも、もう一度会える
　
　
　
いつになるか分からないその日が今にも待ちどうしくて仕方ない
　
　
　

　
俺も1人の人間や
　
　
　
自分の心に宿った気持ちを否定する気は無かった
　
　
　
　