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きっと、いや絶対に小瀧くんのであろうピアスを前に
かれこれ20分は携帯を握りしめて考えている
家まで取りに来てもらうか
私が渡しに会いに行くか
どちらにせよ連絡はしないといけない、のに
どうしても発信ボタンを押す勇気がない
文章で伝えるのもいい、がたったこれだけの用件なら電話の方が早い
頑張れ私、いけるよ私
勇気を出して発信ボタンを押す
プーップーップーッ
話し中だった
どこか安心した自分に、いやそうじゃないでしょ!と1人でツッコんでしまう
しょうがないかこうなったらメールを打っとこう
” 夜分遅くにすみません。
うちに多分小瀧くんのだと思うピアスが落ちて
ブッブーッブッブーッブッブーッ
あと少しで打ち終わりかけたところで彼からの折り返し電話が
心の準備をしてなかった私は出るのを躊躇ってしまう
よしっ、
「もしもし」
『あ、もしもし?Aちゃん?さっき電話くれてたみたいっすね、どうしました?』
「あの、夜分遅くにすみません。
さっき小瀧くんのだと思うピアスをソファーで見つけて、確認しようと思って連絡しました」
『ピアス?あー!昨日そういえば付けてた!シルバーのリングのやつやろ?』
「そうそう」
『朝耳に付いてへんかったから、昨日からしてないもんやと思ってた』
「溝にすっぽりはまってたよ(笑)」
『外で落としたとかじゃなくて良かった(笑)』
「これどうしましょうか?持っていきましょうか?」
『俺今近くにおれへんねんな、』
「そうなんだ、じゃあ私が預かっておくから都合のいい時にまた連絡してください」
『ほんま?ありがとう』
「いえいえ、本当遅くにごめんね、じゃあまた」
『はーい』
お互い少しタメ口混じりに話せるようになっていた
なんか距離が縮まっているように感じて嬉しい
ピアスは小さなジッパー袋に入れて、
いつでも渡せるようにカバンに仕舞った
結局、彼に会うことは叶わず、
ピアスも主人の元には帰ることは出来なかった
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作者名:弦 | 作成日時:2020年7月13日 6時