おとなりさん【熊谷みつ夫】 (ページ25)

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夜、寝れずにタバコを吸いに行こうとすると

人影がひとつあった。

『…裏道？…やっぱり！裏道だ』

「ん？なに、寝れない？」

『そ、なんか落ち着かなくて』

「酒臭い」

『そうかな』

隣に座り、タバコを咥えると

裏道が火をつけてくれる。

『まだそのタバコ吸ってるんだ』

「Aもな。これが一番上手い気がする」

『わかる〜』

空を見上げつつ綺麗な星を見る

とても落ち着く空間だ

「顔熱。飲みすぎた？」

『かもしれない』

「アラサーなら酒の加減くらい把握しろよ」

『なんか飲まないとやってけなくてさ』

裏道の冷たい手が首元にあたる。

数秒間見つめあったあと、裏道は私の手を優しく握った。

『？なにかあった？』

「別に」

『…分かるよ、裏道いやなことあったり落ち込んでたらすぐ顔に出るから。』

「じゃあなんか元気になることして」

『んー、ぎゅう？』

「…足りない」

ふと、裏道の顔が目の前に来た。

唇と唇が重なり、温かい舌も入る。

『ちょ…やめっ…！』

懐かしい感覚だ。

何故か強く断れない。

元々裏道には鬱っぽい所が多々ある。

寄り添えるのは私だけだと、少し依存してしまってる所があるのかもしれない。

「っはぁ…嫌そうじゃないじゃん」

裏道は私の手を握り、光の無い目で私を見つめ

再びキスをする。

しばらくしてガチャりと、喫煙所の扉が空いた。

「…なにやってんすか」