【歌い手】紋章。【男主】

ろく。 ページ8

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2つの大声と共にディザスト達へ迫る炎球。



そ｢【水壁】ｯ！！｣



そらるの速射紋(もんしょう)の恩恵によって即座に目の前へ現れた水の壁。


契約精霊の補助によりデメリットの消えたそれと炎球が交わり水蒸気を撒き散らす。


属性的には勝れども、紋章の影響で威力は互角──否、どちらかといえば炎球が押しているか。


それ故に水壁を維持し続けるそらるへじわじわ負担がのしかかる。



そ｢……っ、キツ…｣



随分炎球の威力が減じ消滅までもう少しという所で、水壁が揺らいだ。


原因は、大幅な魔力減少。


枯渇一歩手前の、危ない状態。



｢──【制御強奪】｣



それでも水壁を維持しようとし続けるそらるから、ディザストは強制的に権限を奪い取る。


揺らぐ水壁に淡々と倍以上の魔力を注ぎ込み炎球を押し返すだけに留まらず、呑み込ませ消滅させた。


水蒸気が辺りを覆い隠した事により視認し難くなった視界の中、先程も聞こえた声が響く。



？｢まふくーん！そらるさーん！どこー！？｣



ま｢さかたん、こっちだよ！｣



まふまふが応える事によって漂う水蒸気の中から元気良く現れる、赤い髪。



坂｢あ！まふくん居った！｣



目立つ赤を追い掛けるように現れたのは、少し小さめな茶色の髪。



？｢──ったく坂田！まずは謝るのが先だろ？｣



坂｢そうやった…ごめんな、まふくん｣



元気一杯な様子から一転、しゅんとなった赤い彼。



ま｢ケガとか無いし、あんまり気にしないで…？｣



坂｢でもそらるさん居らんかったら、威力上がりまくった炎球直撃やったかもしれんし…｣



？｢……というか、速射紋で威力紋(あのかりょく)に良く耐えれたよな。揺らいだ時にはヒヤッとしたんだが──って、そらっぴは？いや、それ以前にまふおは何抱えてんの…？｣



赤い彼の言葉に、ハッと茶髪を揺らしてまふまふに向き問う少し目線の低い彼。


この場に居ない功労者(そらる)の行方、そして薄ぼんやりと光る奇妙な猫の事を問うその姿は正しく “ 常識人 ” 。


けれど後者の問いを聞いた瞬間に輝いた紅の瞳、



ま｢そらるさんが水壁を出した時目で “ 逃げろ ” と言われたので、振り返った時には水蒸気が霧みたいでしたしよく分かんないです。…けど！僕が抱えてるのはディザストがくれた猫ちゃんですよ、うらたさん！！｣



問いへの答え、そのテンションの落差に若干困惑気味に緑の瞳を瞬かせる。



う｢ディザスト…？｣



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