し。 ページ6
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そ「契約って…俺と?」
不思議そうに首が傾き、ふわりと癖の強い紺青が揺れる。
「──【翻訳付与:精霊語】」
ぽつり、返答代わりに紡がれた
《アリガト!アリガト!…ネ!ネ!聞コエテル?》
くるくる周囲を飛ぶのを止め、そらるの眼前で精霊は問う。
そ「え…あ、うん。聞こえてるけど…」
《ホント!ホント!聞コエテルネ!契約シヨ?》
まだ驚きから覚めないそらるへ唐突に持ち掛けられた精霊との “ 契約 ” ──滅多に
けれど月虹の下から覗くガラス玉の瞳にはそう映らなかったようで、
「──返事」
見るからに不機嫌な表情を浮かべ、若干険しい視線を向けていた。
それへ半ば反射的にそらるは “ 是 ” を返すと精霊は可愛らしい顔に喜色を浮かべ、そらるの額へ口付けを落とす。
《マスター、これから宜しくね!》
花が咲くように笑った精霊が紡ぐ言葉、それを
ま「凄い…そらるさん、本当に契約を──」
その光景を呆然と眺めていたまふまふは口から素直な尊敬を零し、学園長はどこか乾いた苦い笑いを浮かべていた。
まぁ、学園を履修した人でさえ “ 契約 ” を成し遂げたのは100年内に片手で事足りる程であり、学生で成し遂げたのは歴史上類を見ないのだから。
そんな歴史的快挙にも立役者たる
「──【解除】」
独白するように一つの呪文鍵を唱えれば、精霊の姿が掻き消える。
そ「あれ、薄くなった…?」
ま「え…?まだ見えてるんですか!?」
首を傾げるそらるだったが紅玉色になったまふまふの目を見て納得し、更に疑問符を浮かべた。
「──契約したんだから、当たり前」
断じた一言。
集まる視線。
動じぬ少年。
学「ディザスト、良く聞いて欲しい。……君が当たり前のようにした事はほぼ全て、人類の歴史に名を残せる程の偉業だよ」
優しく諭すかのような学園長。
だが、それを見詰めるディザストの目は酷く冷たい。
「──そう」
たった一言を告げ、興味なさげに踵を返すと入口へ歩き出す。
誰も来ないのに気付くと振り返り、
「──学園案内、するんじゃなかったの?」
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胡桃(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます!自分のペースで更新頑張ってください! (2020年4月25日 5時) (レス) id: a401c9d8a2 (このIDを非表示/違反報告)
スーエさん - 失格紋の最強賢者の漫画面白いですよね!!紋章が追加されててより面白くなっていて凄いです!小説読んでます!更新楽しみに待ってます!頑張って待ってます! (2020年3月9日 1時) (レス) id: 36b7e070bd (このIDを非表示/違反報告)
恭 - めちゃくちゃ好みです!熾天使とかもう私の好み思いっきり当たってますやん(゜ロ゜)頑張ってください! (2019年5月24日 23時) (レス) id: 7ad60a1c01 (このIDを非表示/違反報告)
おせち - 面白いです。更新待ってます! (2019年5月11日 15時) (レス) id: 1cf454f355 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2018年8月27日 21時) (レス) id: 16d9298981 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:狐皇 | 作成日時:2018年6月11日 1時