【歌い手】紋章。【男主】

じゅうさん。 ページ15

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強者に仇なした愚かしい者達へ制裁を、と言わんばかりにジズから放たれた複数の風槍。


それは標的となった者達を瞬く間さえ与えず刺し貫く──





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──はずだった。



にゃぁん



たった1つ、鳴くだけで魔法を展開出来る存在が彼らの元に居なければ。


風の槍が透明なモノに阻まれ、内から爆ぜた。


吹き荒れる風で近くの建物が次々と倒壊するなか、標的となっていた彼等への影響はそよ風が頬を撫でるような微々たるもの。


明らかに違う視覚と体感の差に呆然とする当人達だったが、



ま｢猫ちゃん…！？｣



悲痛な声に彼等は其方を向く。


そこには、光の粒子が霧散し輪郭を崩壊させる猫の形をしていたモノと、くい留めようと涙目でそれ(・・)を抱き締めるまふまふが居た。


どれだけ叫ぼうとも、どれだけ抱き締めようとも、どれだけ涙を流そうとも、消失は止まらない。


座り込んだ足元に、身を包む制服に、ぽつりぽつりとシミが広がる。



？｢──何故(なにゆえ)、汝は涙を流す？｣



何もなかったはずの空間は揺らぎ、流れる金の髪と純白の3対6枚の翼、そして人外の美とでもいうような容貌が現れた。


ゆるゆると擡(もた)げられた顔が “ それ ” の姿を捉えると、大きな紅玉の瞳は瞠(みは)られた。



ま｢熾天使(セラフィム)…｣



熾｢然(しか)り。だが、否やとも答えよう。



──我は “ セラフィエル ” 。“ 我等が愛し子 ” より “ 名 ” を授かりし熾天使(もの)なり｣



どこか誇らしそうに、そう自らを名乗った。





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