呪いの王を宿した少女 ｰ４ｰ〈呪術廻戦／成り代わり〉

京都姉妹校交流会 ｰ団体戦 零ｰ ページ10

京都姉妹校交流会一日目、団体戦。

チキチキ!
呪霊討伐猛レース

指定された区画内に放たれた二級呪霊を先に祓ったチームの勝利となる！
区画内には三級以下の呪霊も複数放たれており、日没までに決着がつかなかった場合、討伐数の多いチームに軍配が上がる！
それ以外のルール一切なし！！

妨害、攻撃なんでもござれ！


開始時刻の正午まで――解散ッ！！


△▽△▽

ｰ東京校サイドミーティングｰ

「お前が噂の虎杖Aか」

とりあえずミーティングの部屋に集まったAたち。
パンダが物珍しそうにAをしげしげと見ていた。

「パンダが……喋った……」

はじめてパンダを見るAはぽかん、と口を開けていた。

「ツナマヨ」
「なんて？？」

よろしく、と言うように狗巻から差し伸べられた手に、Aは困惑しながらもその手を握る。

「にしても恵。熱い抱擁だったなぁ？」

真希がニヤニヤしながら恵の肩に腕を乗せる。
そのときのことを思い出し、恵はバツが悪そうに口をもごもごさせた。正直に言えばあのときはなにも考えていなかった。
ただAが生きていたという事実だけが、頭を埋めつくしていた。

「釘崎だって抱きついてたでしょ……」
「あたしは嬉しかったよ！ 恵」

ニカッと笑って助け舟を出したつもりのAだったが、どうやら逆効果だったらしい。

パンダと狗巻もニヤニヤに加わって恵を冷やかしている。

「あんたはそれ以上なにも言わないほうがいいわ……」

疑問符を飛ばしまくるAに、野薔薇はぽん、と肩に手を乗せた。

「とにかく……！」

咳払いをして、恵は真希の腕からするりと逃れた。

「このパンダがパンダ先輩で、おにぎりの人が狗巻先輩。狗巻先輩は呪言師で、言霊の増幅、強制の術式だから安全を考慮して語彙絞ってんだよ」

丁寧に説明してくれた恵に、へぇー、と相槌を打ちながら、Aは改めて狗巻を見上げた。

「じゃあ死ねって言ったら――」

ただの好奇心。興味。それだけのはず。

「相手死ぬってこと？」

狗巻を見上げるAの横顔も見慣れたものだ。
なのに、どこか感じる違和感。

「最強じゃん！」

恵は思わず黙り込み、Aを見つめる。

すごい！ と純粋に笑うAの飴色の瞳の奥がぐるりと回った。
なにを思い出しているのか、怒り、後悔、赤が彼女の奥に渦巻いていた。それは、二ヶ月前までのAにはないものだった。

信頼→←また会えて、嬉しいよ

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