58.根 ページ8
「どうかしたのか？さっきからいっぱい
ため息ついてるけど。」
「え、あぁ、いや。別にたいしたことじゃ
ないので。」
「……？そうか。なら、いいけど……。」
き、気まずい。
さっそく布団に入ったのはよいものの、
さっきから会話は無いし、弟はこちらに
背を向け、もう1セットの布団で寝ている。
これじゃ、一人で寝るのとそう変わらない
気がして、なんとか会話になる話題をうーん
と頭でひねり出そうとする。
が、もともとコミュ障な私にはそんな
上等な才能を持っているはずもなく、
途方に暮れることしか出来なかった。
「お、弟〜……、その、なんか話したり……。」
「その、弟って呼び方、やめてください。
僕には律って名前があるので。」
「えと……じゃあ、り、律な。」
……また怒られてしまった。律は結構
神経質だな、なんて思う。
「したら、律も敬語で話すのやめてくれないか？」
「……でもあなたは先輩じゃないですか。」
「う、私が敬語で話されるのいやなんだよ。
敬語の律、なんか怖いし……。」
彼の機嫌を損ねまいと、後半の方は相手に
聞こえない程度にゴニョゴニョと言う。
すると、彼は少し間をおいてから、
「……わかった。」
と言ってくれた。
「あと呼び方も、先輩、じゃなくて名前でな？」
「……調子のらないで、A。」
「はは、呼んでくれるのか。」
「Aは先輩だから、言うこと聞いた
だけだよ。‥‥ちょっと、足バタバタさせない
で。ホコリ舞うでしょ。」
無自覚に口角は上がる。
初めて律に優しくしてもらった私は、
口には出さないもののそりゃ嬉しかった。
律に泣かされたあの日、鬼のような奴だ、
無慈悲な奴だと認識していたけれど、
意外と優しいとこがあるものだ。
今夜はゆっくり眠れそう。
そう密かにはしゃいでいた私は、ヤツの
存在を忘れていたのだ。
そう、脅威をもたらす、……雷の存在を。
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みかん - 面白いです！続き気になる…更新待ってます！ (2月7日 23時) (
レス) @page19 id: 460144ffaa (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりのバカ - めっちゃ好きです！続きが気になります！ (2023年1月10日 11時) (レス) @page19 id: 04cd5210b5 (このIDを非表示/違反報告)
かっち(プロフ) - すみません…面白すぎます…。嫉妬すら出来ないレベルで…続きまってます！大好きです！！ (2022年12月30日 17時) (レス) id: 1b6cbbdaba (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - ものっすごく！お話面白くて素敵です！更新待ってます！高評価とお気に入り登録させていただきました！ (2019年3月24日 11時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
HARU(プロフ) - えぇ、めっちゃ気になる… (2019年3月6日 23時) (レス) id: ee202a18ba (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2017年8月18日 23時
