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53.粉末スープ ページ3

モブside



「……雨、やまないね。」


「……うん。」



真っ黒な嵐の中から、窓ガラスにペチペチ
あたる雨粒を見て私達は何を話すわけでも
なくただぼーっとしていた。


鈴木くんたちがリビングに戻ってくるのを
待ちながら、モブたちがコンビニから買って
きてくれた粉末スープを二人で熱湯で溶いて、
熱いね、なんて言ってはにかみ合った。


モブと私は、クルトンの入ったコーン
ポタージュに、焼いた食パン。


鈴木くんと弟は、バジルの浮いたオニオン
スープにフランスパンの組み合わせ。


最初は二人が戻ってくるのを待っていたが、
耐えられず先に少しだけ食べ始めることに
した。


寒い嵐の中で食べるからなのか、熱湯で溶いた
だけのスープは、いつもより美味しく感じた。



「……モブ。」


「なに?」


「えと、…ごめん。その…最近、私モブに
対してすごい感じ悪かったと思う、んだ……。」



スープを口にしながらボソボソと情けなく
そう言った私に、モブはふふ、と少し
笑って見せる。



「そのことなら、Aだけが気を重く
することないよ。僕にも否はあったんだろう
なと思うし、それにね……」


「なに……?」


「律に、少し話を聞いたんだ。さっき買い物
に行ってる最中。なんだかAに、律が
前ひどいこと言っちゃったみたいで。」


「…えっと…聞いたのか。」


「うん。…でも律、すごく反省してるみたい
だった。だから、僕からも、弟のこと許して
あげてほしい……って思うんだけど…。」



チラリ、とスープの入ったカップの方から
顔を上げたモブと目が合う。



「……もちろん。それに、私も弟のこと
どうこう言えないと思うしな …。」



モブは再び少しはにかむ。その顔は
少し安心しているようにも見えた。


が、何かを思い出したのか、突然目を
大きくさせると慌てて席を立ちどこか
へと向かう。

そしてキッチンの方から戻ってくると、
冷えたアイス枕をタオルで包んで私に
手渡した。




「わ、忘れてた……!そのままじゃ目痛い
よね?これ、目に当てて使って。」


「お、ありがとう。‥…なんか、悪いな。」

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みかん - 面白いです!続き気になる…更新待ってます! (2月7日 23時) (レス) @page19 id: 460144ffaa (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりのバカ - めっちゃ好きです!続きが気になります! (2023年1月10日 11時) (レス) @page19 id: 04cd5210b5 (このIDを非表示/違反報告)
かっち(プロフ) - すみません…面白すぎます…。嫉妬すら出来ないレベルで…続きまってます!大好きです!! (2022年12月30日 17時) (レス) id: 1b6cbbdaba (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - ものっすごく!お話面白くて素敵です!更新待ってます!高評価とお気に入り登録させていただきました! (2019年3月24日 11時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
HARU(プロフ) - えぇ、めっちゃ気になる… (2019年3月6日 23時) (レス) id: ee202a18ba (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2017年8月18日 23時

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