精神科。 K.Fuma (ページ44)

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番外【健人】ページ44

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俺は楽しく暮らしていた。

ピアノもして、歌もダンスも出来るようになって。

そして、学校でラブホリ王子、なんて呼ばれて。

でもそれが俺にとってはストレスだったんだ。

ピアノが出来るから"何か"弾いてよ、

ダンス出来るから"何か"踊って、

歌唄えるから"何か"唄ってよ、

ラブホリ王子だから"何か"きゅんってする言葉言って。

何かってなんなの？

俺もそんなに天才じゃないからぱっと思いつくようなものじゃない。

何かリクエストみたいなのをしてくれたらそれには答えられる程度に答えられるけど、

何かって言われるのが一番嫌。

だけど、皆はそれを分かってくれなかった。

今日も、彼女に言われた言葉

「健人、"何か"囁いて、あたしをきゅんってさせて」

だから、何かってなんなの？

「どんなの？」

「え、なんでもいいよ。あたしをきゅんきゅんさせれたらいいんだから」

俺は好きでラブホリ王子をやってるわけじゃないのに。

勝手に皆があだ名を決めて、ラブホリ王子って呼んでるだけ。

だから、それがストレスになったんだ。

そして、自殺を図った。

はずなのに、気が付けば病室。

それを何度も何度も繰り返した。

だけど、気が付けば病室だった。

そんな俺に呆れたのか皆、

「健人ってそんなことするやつだったの」

「中島、絶対死ぬなよな。俺らが殺したって思われるから(笑)」

そう言って、俺の気持ちを分かろうとしなかった。

しばらくして、俺は今の精神病院に預けられた。

そこで出会ったのが高木先生だったんだ。

唯一、この世で俺を分かろうとしてくれたのが高木先生だった。