95.褒める褒めないの問題？ 音也side ページ7
ごめん。
本当にごめん。
突然男が泣き出すなんて、ダサいよね。
「あの、私、また何か…」
いつも強そうで、真っ直ぐ前を向いている月夜。
そんな月夜がオロオロしてる。
また傷つけたんじゃないか。
また間違えたんじゃないか。
月夜がそう思っているのが分かる。
普段、月夜の表情からは何も読めないのに。
「違うんだ…、俺…嬉しくて」
「う、嬉しい…？？」
どうしてそんな顔するの？
いつも大人びた表情をしているのに、突然そんな年相応な表情をされたら、困る。
「分かってるよ。
月夜が、俺のこと褒めてくれたの」
「ただ…何だろう。
凄く、凄く嬉しくて…」
そこまで言うと、また目の奥がツンとする。
そんな号泣するわけじゃないけど、どうしてか分からないけど、涙が零れる。
「大丈夫か、音也」
「翔…」
背中をポンポンと叩いてくる。
「その気持ち、すげぇ分かるから」
うんうんと頷いている翔。
「だから、落ち着け」
「うん…」
分かるって、どういうことだろう。
俺自身、この気持ちが何なのか分からないのに。
「…月夜、少し話がある」
「…龍也先生、でも…」
「急用だ」
「！わ、分かりました！」
日向先生と月夜はブースに入っていった。
「…月夜ってさ」
いなくなったのを見計らって、翔が話し出す。
「いつも落ち着いてるし、あんまり笑わないだろ」
「そうですね。
それに歌に関してはかなり真面目です」
「翔？トキヤも、何を…」
真面目…ね、とりんちゃんは呟いた。
「彼女のスタイルは、基本的に最初に褒めて、その後は徹底的に歌を鍛え上げます」
「そーなんだよな。
しかも、練習の時は雑談が一切なかったし」
2人の言ったとおりだ。
月夜が俺の歌を褒めたのは、あの時のレコーディングルームで歌った時とさっきだけ。
練習中は、練習に関することだけ話す。
この前みたいに話を振ったら、答えてくれるけど。
「褒め方も少し変わってるだろ？
でも何かさ、そんな月夜に褒められると、すっっっげぇ嬉しくなるんだよな！」
「あの人は、ちゃんと私達を見てます。
私達の歌も、真剣に。
だから一言一言が心に響く」
それはきっと、七海も同じ。
七海も、真剣に俺と向き合ってくれてた。
七海は、練習する度、凄いって褒めてくれた。
だから、もっと頑張ろうって思った。
嬉しかったから。
月夜は、褒めなかった。
別に褒めてほしいわけじゃないけれど、どこか寂しくはあった。
「俺、月夜に認めて貰えたかな…？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 991人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
恭(プロフ) - はじめまして、ノルノネの方もこちらの方も楽しく読ませていただいてます。更新を再開していただけたら幸いです。 (2017年11月7日 16時) (
レス) id: 6cce78c8ac (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - ねぎさん» ノルノネの作品も読んでいて下さるんですか！？ありがとうございます！！テスト週間に入ってしまい、そちらに専念するのでしばらく更新が出来ません。大変申し訳ございません。終わり次第、また更新します！！ (2017年2月22日 7時) (レス) id: d612dec37b (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ - ノルンノネットの作品もこのうたプリの作品もとっても読んでいてワクワクする小説で私のお気に入りです。更新が止まってしまっていますがまた更新してくれることを楽しみに待っていますね！！頑張ってください。 (2017年2月21日 3時) (レス) id: 4d5fa3e4b6 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 藍音さん» ありがとうございます！！更新が遅くなっていて申し訳ないです。頑張って更新できるようにします！ (2016年12月19日 16時) (レス) id: d612dec37b (このIDを非表示/違反報告)
藍音(プロフ) - 凄く楽しんで読んでます。これからも更新頑張ってください！ (2016年12月17日 20時) (レス) id: 1412c3226a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：のん | 作成日時：2016年5月22日 13時
