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94.Σ(゜ロ゜) ページ6

一十木くんは、才能があるんだと思う。
一ノ瀬さんとは違う才能が。

「…凄い」

改めて聴くと、一十木くんがどこまで伸びたのか分かる。

「こりゃあ、化けたな…」

龍也先生が感心しながら言う。

今日はテストの追試当日。
私は一十木くんに言われ、ここにいる。
私だけじゃなく、ここには春ちゃん、来栖くん、一ノ瀬さん、四ノ宮さん、林檎先生がいる。
かなりの大所帯だが、追試を受ける側の彼に言われたのだから、仕方がない。

『俺さ、今日の追試皆に見て欲しいんだ。
俺の歌を聴いて欲しい!!』

そう言った本人が、全く私達を気にしず歌っているから、それもまた一十木くんらしい。


『…――I'll make tomorrow with you』


最後のワンフレーズ。
優しく誰かに囁くように歌い終わる。

ここの歌い方は、いつもそうだった。

誰に向けてるんだろう?
どんな感情で歌ってるんだろう?

気になるけど、私が首を突っ込むことじゃない。

「はぁー!!楽しかったぁぁ!!」

ブースから出てきた一十木くん。
随分スッキリした顔をしている。

「音也、お前…」

来栖くんが一十木くんに近づく。

「すっげぇぇ!!
今までも良かったけど、もっと良くなってるっていうか!!」

「聞いている僕達も、楽しくなる様な歌でした!!」

世で言うクラシック組が、一十木くんを褒めている。

「……っ…」

「凄い…です…」

一ノ瀬さんが悔しそうな顔をしている。
掌をグッと握って。

春ちゃんは、ポカンとしたような…。
とにかく驚いた、という表情をしている。

「一十木、よく頑張ったな」

「うんうん!追試だなんて思わせないくらい、いい歌だったわ!!」

先生方も一十木くんの変わりように驚き、褒めている。

「皆、先生も…。
ありがとう!!」

よかった。
この笑顔が見れて、本当によかった。

「………」

一十木くんの視線がこちらに向いた。
あの時と一緒。
私だけが、何も言っていない。

「…一十木くん」

「うん」


「…私は、この歌が聴きたかった」


「――!」

「それだけです。
あとは、皆が言ったとおり」

「……――」

「!?(゜ロ゜)」

あ、ごめんなさい。
突然顔文字っておかしいとは思う。
でも、それだけ驚いて…―。

「うぅ〜…」

「お、音也!?」

「え、あの、その…い、一十木、く…」

どうしようどうしよう。

「ご、ごめん…俺…」

「あの、私、また何か…」

今までにない以上狼狽えてる。
だって、突然目の前で一十木くんが泣き出したから。

95.褒める褒めないの問題? 音也side→←93.事実と憧れと



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(プロフ) - はじめまして、ノルノネの方もこちらの方も楽しく読ませていただいてます。更新を再開していただけたら幸いです。 (2017年11月7日 16時) (レス) id: 6cce78c8ac (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - ねぎさん» ノルノネの作品も読んでいて下さるんですか!?ありがとうございます!!テスト週間に入ってしまい、そちらに専念するのでしばらく更新が出来ません。大変申し訳ございません。終わり次第、また更新します!! (2017年2月22日 7時) (レス) id: d612dec37b (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ - ノルンノネットの作品もこのうたプリの作品もとっても読んでいてワクワクする小説で私のお気に入りです。更新が止まってしまっていますがまた更新してくれることを楽しみに待っていますね!!頑張ってください。 (2017年2月21日 3時) (レス) id: 4d5fa3e4b6 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 藍音さん» ありがとうございます!!更新が遅くなっていて申し訳ないです。頑張って更新できるようにします! (2016年12月19日 16時) (レス) id: d612dec37b (このIDを非表示/違反報告)
藍音(プロフ) - 凄く楽しんで読んでます。これからも更新頑張ってください! (2016年12月17日 20時) (レス) id: 1412c3226a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のん | 作成日時:2016年5月22日 13時

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