92.放課後の練習 ページ4
そんなこんなで、あっという間に放課後。
「では、一十木くん。
ブースの方に」
「はいはーい!!」
レコーディングルームに集まった、私、一十木くん、春ちゃん。
「あの…Aちゃん、何を…?」
「私のせいで、一十木くんが追試になった。
そのことは事実なんですけど…」
「…!!そんな!!」
『月夜〜。準備OKだよ〜!』
一十木くんがブースから手を振っている。
私はそれを確認すると、音楽を流す。
「…!これ…!」
「一十木くんが、自分も悪かったって言って引かなかったんです」
「だから、私は1つ案を出しました」
一十木くんは歌い出す。
春ちゃんとテストの為に作った、あの曲を。
『……じゃあ、この件はこうしませんか』
『私が一十木くんに歌の練習に付き合わせて……レッスンをさせてください』
『そして、一十木くんは追試で神宮寺さんを抜いてください』
レッスンと言っても、藍くんの受け売りだし、授業とかでやっているから、そんな凄いことを出来るわけじゃない。
神宮寺さんの94点を抜けるかって言われると、正直難しいと思ってる。
来栖くんの90点はいけるかもしれないけど。
でも、一十木くんはにっこりと笑った。
よろしくね、と言った後に、こう言った。
『よし!!
やってやる!!!
頑張るよ、俺!!!』
無理だって言わなかった。
やってやるって、自分の可能性を信じた。
この人は、本当に向日葵のようだ。
明るくて、前を、上を向いて歩いてる。
「春ちゃんの作った曲は、何もいじりません。
あのまま、一十木くんには追試を受けてもらいます」
「そうだったんですか…」
納得したような、驚きを隠せないような、そんな顔をしている。
「月夜!どうだった??」
歌い終わった一十木くんが、ブースから出てきた。
「えっと…」
私は楽譜を取り出して、感想を述べる。
「やっぱり出だしが弱いです。
ふの音は、少し出しにくいですが、そこはしっかり発音して下さい」
「うーん…。
頑張ったんだけど、やっぱりまだダメかー…」
「あとは…――」
いくつか気になった所を教える。
前みたいに、傷つけないように。
「ちゃんと息を吸って」
「すぅぅぅぅぅ」
「どうぞ」
「ふ!たりで紡ぎ出す…」
「ふを強調し過ぎです」
こんな調子で、私と一十木くんは、追試当日までレコーディングルームや、様々な場所で練習をしたのだった。
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恭(プロフ) - はじめまして、ノルノネの方もこちらの方も楽しく読ませていただいてます。更新を再開していただけたら幸いです。 (2017年11月7日 16時) (レス) id: 6cce78c8ac (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - ねぎさん» ノルノネの作品も読んでいて下さるんですか!?ありがとうございます!!テスト週間に入ってしまい、そちらに専念するのでしばらく更新が出来ません。大変申し訳ございません。終わり次第、また更新します!! (2017年2月22日 7時) (レス) id: d612dec37b (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ - ノルンノネットの作品もこのうたプリの作品もとっても読んでいてワクワクする小説で私のお気に入りです。更新が止まってしまっていますがまた更新してくれることを楽しみに待っていますね!!頑張ってください。 (2017年2月21日 3時) (レス) id: 4d5fa3e4b6 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 藍音さん» ありがとうございます!!更新が遅くなっていて申し訳ないです。頑張って更新できるようにします! (2016年12月19日 16時) (レス) id: d612dec37b (このIDを非表示/違反報告)
藍音(プロフ) - 凄く楽しんで読んでます。これからも更新頑張ってください! (2016年12月17日 20時) (レス) id: 1412c3226a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のん | 作成日時:2016年5月22日 13時