109.めんどくさいこと ページ21
めんどくさい。
こういうの、ホント嫌い。
『×日、授業をサボって、校舎裏に来い』
あの手紙にそう書いてあった。
×日というのは、今日の日付。
よかったな、今日運良く開けて。
「へぇ…。
ちゃんと来るのね。授業サボって」
クスクスと笑いながら歩いてくる女子数名。
――やっぱりか。
「何の用ですか」
「…相変わらず嫌味ったらしい顔ね。
少しは怖がったりしないわけ?」
腕を組んで、いかにも偉そうにしている女子。
「驚く必要はないです。
手紙の特徴から予想はついたので」
ピンクの封筒はあの山にいくらでもあった。
だが、薔薇のシールを使っている物はなかった。
表に書かれた私の名前。
あの手紙以外は、名前の後に必ず"さん"か"様"がついていた。
何より、手紙から漂ってくる香水の匂い。
あれは、神宮寺さんの周りにいた女子がつけていた香水の匂い。
そして、封筒についていた小さな針。
以上から考えられるのは一つ。
『神宮寺さんの象徴の薔薇のシールを使うほど、神宮寺さんが好きで、私に対抗心を持った、神宮寺さんの取り巻きの女子』
「ホンットそのしらっとした態度、気に食わない!!」
「…用件は何ですか」
「レン様に、近付かないで」
あーあ。
めんどくさい。
昔から、これだけはホントめんどくさい。
「どうしてですか?」
「なっ…!」
「第一、私より神宮寺さんの方が私に話し掛けてきますし」
「それに、彼はこれからアイドルになるんですよ?
全国にファンができて、笑顔を振舞って。
優しい対応をとる。甘い言葉も囁くでしょう」
「その度に、貴方達はこうやって嫉妬するんですか?
貴方達も、作曲家かアイドル志望でしょう?」
「もう少し、御自分の行動を見直した方がいいですよ」
私の言葉に、女子達の顔はどんどん歪んでいく。
「…っなによ!!
神宮寺様に少し気に入ってもらってるってだけで!!
成績がいいからって!!偉そうに!!!!」
数人いたうちの1人が、私に向かって思い切り手を振り下ろした。
「……遅い」
「なっ…!!」
私はその手を、片手で受け止めた。
悪いけど、私はそこまで貧弱じゃない。
昔の私なら、ここでビンタ食らってたし、そもそもあんなこと言えない。
この世界に来てから、沢山の恩師に出会った。
全て、彼らのお陰なんだよ。
「…随分偉そうにしてるけど」
今の今まで少し遠くにいた女子が、近付いてきた。
「これを見ても、そのままでいられるかしら?」
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恭(プロフ) - はじめまして、ノルノネの方もこちらの方も楽しく読ませていただいてます。更新を再開していただけたら幸いです。 (2017年11月7日 16時) (レス) id: 6cce78c8ac (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - ねぎさん» ノルノネの作品も読んでいて下さるんですか!?ありがとうございます!!テスト週間に入ってしまい、そちらに専念するのでしばらく更新が出来ません。大変申し訳ございません。終わり次第、また更新します!! (2017年2月22日 7時) (レス) id: d612dec37b (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ - ノルンノネットの作品もこのうたプリの作品もとっても読んでいてワクワクする小説で私のお気に入りです。更新が止まってしまっていますがまた更新してくれることを楽しみに待っていますね!!頑張ってください。 (2017年2月21日 3時) (レス) id: 4d5fa3e4b6 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 藍音さん» ありがとうございます!!更新が遅くなっていて申し訳ないです。頑張って更新できるようにします! (2016年12月19日 16時) (レス) id: d612dec37b (このIDを非表示/違反報告)
藍音(プロフ) - 凄く楽しんで読んでます。これからも更新頑張ってください! (2016年12月17日 20時) (レス) id: 1412c3226a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のん | 作成日時:2016年5月22日 13時