鼓動。 ページ25
ジェシーと電話してるAを、ずっと見てた。
左手で遊びながら。
撫でたり、指の間絡めたりしたら、時々ビクッってなるのが可愛かった。
電話を切ったAはサッと手をひっこめようとしたけど、阻止して、指を絡めてたままぎゅっと握った。
樹「今、どんな気分？」
A「ドキドキ止まらないし、苦しい。」
樹「さっきさ、俺とはもうこれ以上距離縮めらんない、って言ったよね。」
A「言った。」
樹「ホントにもうこれ以上近づくのイヤなら、もう辞める。Aが嫌がることしたくないし。」
A「…。」
樹「俺さ、Aのこともっと知りたい、って思ったの。ちゃんとね。だから、アサとももう会わないって決めたし伝えた。もう会わないよ？」
A「え？」
樹「気になってたんでしょ？」
A「…あ、うん。」
樹「でさ、Aはどうする？」
A「…。」
下向いたまま、黙っちゃった。
樹「…そっか。…困らせてごめんな。」
ゆっくり手を離そうとしたら…
ギュッ…
Aの方から手を握ってきた。
でもまだ下向いたまま。
樹「…ちょっとだけAのことわかってきたかも。」
樹「おいで？」
繋いだ手をこちらに引き寄せると、俺の腕の中。
ギュッ
繋いだ手は離れたけど、両手でしっかり抱きしめた。
すんごい鼓動が伝わる。
あ〜、可愛い。
樹「…ちょっとこのままでいて？」
A「…うん。」
しばらくAの鼓動を感じてると、ゆーっくりAの両手も俺の背中に回ってきた。
Aの方から触られるの、初めてかも。
樹「…なぁ。俺さぁ。自分で思ってた以上にお前に夢中なんだと思う。」
A「…そんな事言わないで…。どうしたらいいかわかんない。」
樹「好き。」
A「…言わないでって。」
樹「だって好きなんだもん。」
A「…だめ。」
樹「え？やっぱ俺フラれるのかなぁ笑」
A「…そういうことじゃなくて…！」
樹「わかってるよ？全然言ってくんないけど、Aは俺のことが好きで、でも好きだから近づくの怖いんでしょ？」
A「…。」コクンッ
樹「だからちょっとづつレベル上げてってんの。もうさ、ハグまで来てんじゃん。すごくね？」
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作者名：Hanae | 作成日時：2020年6月11日 7時
