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4月28日、晴れ。
雲一つなくて、気持ちいいぐらいの快晴。
……昨日確認した天気予報は雨だった、気がしたんだけど。
あれー、おかしいな、って首を傾げながら携帯で天気予報調べたら、見てた日付がずれてた。
明日じゃん、雨降るの。
( 傘まで持ってきたのに… )
この話をきょもにしたら、きっとバカにされるだろうなって溜息を吐いた。
そんな私の視界に今日も今日とて映る、赤い自販機と紺色のブレザー。
手には黒のボトル缶。
( あ、また )
コーヒーを一口流し込んで、不味い、って顔。
欠かさず買ってるから好物なんだろうなって思うけど、あの歪んだ顔を見ると、無理して飲んでるようにしか見えない。
うーん、どっちなんだろ。
( 無理してるとしたら、理由が気になるなあ )
初めて黒髪くんを見かけた日から三日、変わらず同じバス停で会って、同じバスに乗る。
いつも私の方が先に降りるから、どこまで乗ってるのかは分からない。
こんな晴れてる中で傘持ってるの見られたら恥ずかしいなってふと思って、彼が立ってる方向と逆側に隠すように傘を腕に提げ直す。
( あ、来た )
また少し、予定より遅れてやってきたバス。
今日も私は後ろの方の席に座る。彼は真ん中辺りの席。
もう少し近い所に座ってみようかな、とか、私があの辺りの席に座ったらいいのかな、とか。
いやでも、そうしたらきっと彼は違う所に距離空けて座るよなってネガティブになって、結局いつもと同じ場所を選んでしまう。
最早定位置になりつつあるな。
黒髪くんの後頭部ばかりよく見える、この席。
『 ま、仲良くなりたいんなら、とりあえずは話しかけるとこからだね 』
一目惚れしたことを観念して認めたら、あ、やっぱそーお？ってきょもは笑って、一言。
そんなこと私も痛いくらい分かってますよ、京本さん。
でもそんな勇気持ち合わせてないのもまた事実で。毎朝会うけど、大した収穫なしに終わってく。
私は未だに、黒髪くんの名前すら知らない。
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作者名：紺
| 作成日時：2023年4月24日 15時
