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お昼休み、いくつか並ぶ自販機の中に、あのボトル缶を見つけた。
コーヒー飲めない私にブラックはますます厳しいから買いはしないけど、なんとなくその自販機に小銭を投入する。
休み時間にきょもと話したことは、答えが出ずじまいで。
まぁそもそも今日会ったばっかだし、姿を見てたのはほんの数十分。
今まで生きてきた中で恋したことはあるけど、一目惚れは一度もなかったから、正直自分でもよく分からないって感じ。
ガコン、と何かが落ちてきた音。
ぼーっとしたままボタンを押してしまったようで、拾い上げたそれを見て思わず頭を抱えた。
「 ブラックコーヒーじゃん… 」
だから私は飲めないんだって。何やってんの。
はぁ、と溜息をひとつ零すと、あれ、って耳慣れた声が聞こえてきた。
「 Aじゃん、どうした？ 」
「 あ、ひーくん 」
ひーくん、こと、岩本照。クラスでよく喋る男子、第二号。
今年初めて同じクラスになったんだけど、ひーくんときょもが仲良かったからその流れで仲良くなった。
「 ね、ひーくんこれ飲める？ 」
「 お前さ、俺が甘党って分かってて言ってる？ 」
「 んふっ、ごめんごめん 」
筋トレとかが趣味で、見た目すごい厳ついんだけど、かなりの甘党。休み時間いつもチョコレート食べてるし。
ほんと、ギャップの塊なんだよね、ひーくん。
「 てか自分で買ったんじゃねぇの？ 」
「 うん、間違えた 」
「 どうやったら間違えんの、笑 」
どうやったら、って、黒髪くんのこと考えてたら。
また顔を顰めてる彼が頭の中に現れて、それをかき消すように慌てて首を振った。
今日ずっと、私の頭の中を占めてる気がする。
最低でも、半分。多い時は八割ぐらい？いや、もっとかな。
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( ……恋、かもしれない )
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作者名：紺
| 作成日時：2023年4月24日 15時
