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「 一年ぐらい、ってことは、入学してすぐぐらいから？ 」
「 そう。一目惚れ、しちゃってさ 」
「 えっ 」
「 ん？ 」
「 あ、いや、なんでもない 」
一目惚れ、って単語につい反応してしまった。
ひーくんとも話したばっかだから、なんかこんな重なると逆に面白いなとか思ったり。
「 で、Aちゃんは？ 」
「 ん？ 」
「 ほら、好きな人とか 」
「 あ、聞かれるんだ 」
「 当たり前じゃん？笑 」
じゅったんが話したら終わりなのかと思ってたよ。
どこまで話すべきかな、でもなんかじゅったん普通に話してくれたしな。
実はさ。
そう言いかけた時既にバス停までもう少しで、でも乗る予定のバスがやって来るのが見えて。
「 あ、あれ私が乗るやつ 」
「 え、！？もう来てんじゃん！急げ！ 」
傘をグッと持ち替えたじゅったんが、私の手を掴んで走り出す。
え、ねぇ、これもう傘機能してないけど大丈夫そ？
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「 はー……、間に合ったな 」
「 うん、なんとか……コンビニまで送らなくて平気？ 」
「 ん、いーよすぐそこだし。ダッシュするから 」
「 そっか 」
じゃあ、ってじゅったんを見上げるけど、彼は私の傘を差したまま、走る為に繋いだ手を離さない。
「 ……じゅったん？ 」
「 ん？ 」
「 手離してくんないと乗れない、んだよね 」
「 えっ、あ、ごめん 」
「 あと傘も 」
「 あ、うん、ありがと 」
受け取ったお気に入りの傘を閉じて、気をつけて帰ってね、と一言、バスに乗り込む。
ブザーの音と共に、ぎこちないスピードで閉まるドア。
バスが動き出しても、じゅったんはまだバス停に立ったまま私を見送っていた。
見た目に反して結構律儀なんだなぁとか思ったり。……私、じゅったんへの偏見がちょっと強すぎる。
( なんかまだ、手の感触が、 )
……簡単に女子と手繋いだりしない方がいーよ、って言えなかったのは。
パッと私の手を離したじゅったんの顔が、真っ赤だったからかもしれない。
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作者名：紺
| 作成日時：2023年4月24日 15時
