親愛なるパパへ【黒尾鉄朗】

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鉄朗へ



私ももう16歳になりました。

いつも支えてくれてありがとう。



突然だけど、聞いてね。


これを機に、私は家を出ます。

ずっと誕生日を過ぎたら家を出ようと考えてました。

だから、鉄朗には内緒でバイトもしてました。




鉄朗は私が家を出て行ったら探してくれるって言った。

それで、安心しました。

ちゃんと愛されてるんだなって。


だけど、私は大丈夫だから。

もう、大丈夫。


私はもうこんなに大きくなりました。




えっと、それからね。

いきなりだけど


私にはパパが二人います。

4歳の時まで育ててくれた天国のパパ


それから

ずーっと私を支えてくれた、鉄朗




私にとって二人ともパパなんです。

血が繋がってるとか繋がってないとか

関係ないんです。


鉄朗は誰よりも私のこと大事にしてくれた

世界一自慢のパパなんです。




4歳のころの記憶は正直曖昧です。

だけど今笑えているのも鉄朗のおかげです。


鉄朗の優しさはずっと覚えてるよ。



ホントはあの頃、鉄朗もすごく辛かったよね。

だけど私のために、

私の前で絶対に弱音を吐かなかった。


ごめんね、辛かったね。

今度は私が慰めてあげられるくらい

強くなるからね。



鉄朗は“Aの幸せが俺の幸せだ”って言ってくれた

だから、私が出ていくって言ったらきっと

私が鉄朗に迷惑をかけるから出ていくんだって思うんじゃない？



あのね、鉄朗

私の幸せも鉄朗の幸せなの


どんなときも支えてくれたこと

私のために彼女をつくらないでいてくれたこと

いつもそばにいてくれたこと

感謝しています

けど、もう私のために我慢しないで


安心してください、

私はあなたのおかげでここまで育ちました。



だから、幸せになってください

鉄朗が笑ってくれたら幸せです。

私も鉄朗の元を離れて新しい幸せに出会えることを願っています。



また帰ったときは、オムライス作ってね。

あれ、すごく元気が出るの。

ほんとに、魔法みたいでした。



最後に、ひとつだけお願いがあります。

次、会うときは


“パパ”って呼ばせてください。



私、黒尾Aは


いつまでも

あなたのワガママな娘です。



Aより





その、手紙を読み終えて



俺は

自分が泣いていることに気づいた。

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