【çR】どなたでしたっけ？【完結】

8 ページ8

昨日は散々だった。
ホテルに着いた頃には、はぐれてるMondo。
アニメグッズを見に行きたいRasちゃんとCPT。


道中のタバコ屋に吸い込まれてたMondoを回収して、RasちゃんとCPTを送迎して、Sellyとは極力距離を置いて。

晩ご飯を全員で食べてから、各々の部屋に詰め込んで逃げ帰った。



Mondoは私がSellyから逃げてることに気が付いてて、途中から完璧に面白がっていた。

私の腰に手を回してきたり、帰り際に一緒に部屋で呑もうよと誘ってきたり。

その度にSellyの眉間の皺が増えるもんだから、正直生きた心地がしなかった。
ちなみにMondoはケラケラ笑っていた。
ほんと、悪魔みたいなやつだ。




『う゛ぅ゛〜ん…』




疲れが残っているようでスッキリ目が覚めない。布団の中で一回伸びをしてから、もう一度丸まり、目を瞑った。

今日は土曜だから良いのだ。
好きなだけ、寝れるだけ寝てやろう。


ふと、昨日の妙に聞き分けのいいSellyを思い出す。
付き合ってた頃は私の反抗なんて決して許さなかった。別に暴力や暴言があった訳ではない。ただ、ただ愛されていた。愛で雁字搦めにされていた。



ーまるで人形のように。





外出時の服装、交友関係、スマホの履歴は当たり前。果ては私の仕事まで奪おうとした。愛されてると実感しているからこそ、Sellyの腕の中が心地よいからこそ拒否出来なかった。


Sellyが好きだから。
強気な態度をとるけれど、本当は寂しがりやなSellyに寄り添いたかった。


でも、それが良くなかった。
私が流されたりせず、ちゃんと話し合っていれば、あそこまで過激な束縛にはならなかったはずなのだ。



絆されて、甘やかして、放り投げて逃げた。



『はぁ…』


本当に最低なのは私だ。

2年かけて、やっと後悔しなくて済むようになったのに。
たった1日一緒にいただけで全て水の泡。

9→←7

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す