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「もう飲めない…」
「…もう無くなっちゃいましたからね」
「ねむい、から…部屋まで連れてって！抱っこ…」
「何言ってるんですか…ちゃんと起きて」
声を掛けても動く様子か無いので軽く揺すると、「う"ぇ」と吐きそうな声を出したのですぐに辞めた。
仕方ないのでベットを貸そうか悩みながらさらさらと彼女の髪を梳く。
「ベット、貸してあげますからもう休んでください」
「…イソップさんはどうするの」
「僕はどこでも眠れますから」
「…だめ、いっしょがいい」
酒のせいで火照った顔にとろんとした目でそんな、かわいいことを言わないでほしい
僕だってそこまで紳士ではないのだ。
「…今日だけですよ」
「なんで、今までだって寝たことあるじゃん」
文句を言う彼女の声を流しながら抱き上げて、布団の上まで運ぶ。
ちゃんと食べているのか不安になるような質量にまた庇護欲をおぼえて、布団にくるまるその子の隣に静かに横たわる。
「…なんでマスクしてるの」
「いつものことです、今更なにを」
「…ねえなんでマスクしてるの」
お酒飲む時は外してたのに、と。
返答に困って無言で居れば、べしべしと腕を叩かれた。
「ちょ、痛、なんですか」
「なんでマスクしてるの！」
「…外した方がいいですか？」
「とってほしい」
「どうしてですか？」
今度は彼女が黙り込んだので、不思議に思って覗き込む。弱いロウソクの灯りでは見えずらいが、少し目に涙をためて顔を赤くして
「…ちゅーできないから」
と。聞こえるか聞こえないか、本当にギリギリのか細い声で呟いた。あまりにもかわいい。ここまで言われて平静を保てる男なんて、きっと居ない。
「…はぁ、本当にかわいいことばかり言いますね貴方は」
「あなた、じゃなくて…名前で呼んで」
「…Aさん、こっちに顔を向けてください」
変わらず素直にこちらを向いたその子に、追いうつように訪ねる。
「したいですか、キス」
「…ぅ、ん」
今度こそ本当にちぎれそうな声で肯定した彼女の顎を優しく掴んで、自分のマスクをずらした。ちゅ、と軽く口付けて
「ふふふふ、唇もちょっと冷たいね」
「あなたはちょっと酒くさいです」
「え、ひどい」
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33円の民 - 文才の塊ですか？とても素敵な作品ありがとうございます。 (2021年12月20日 21時) (
レス) @page10 id: a4e0508ccb (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望：我妻さん - やだ皆だいしゅき。作者様に感謝感激雨あられ…！ (2020年2月26日 20時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - アネモネさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます…！ハマリたてのジャンルなので拙い部分も多いですが、よろしくお願い致します！ (2020年1月6日 14時) (レス) id: a5ceb500b2 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 星押そうとしたら既に投票済みって出てきて辛い...めちゃくちゃ尊かったです... (2020年1月6日 12時) (レス) id: f6f59e365f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめこ | 作成日時：2020年1月5日 0時
